昼飯休憩

「それってもう3大欲求しか残ってないじゃない」
小都市の一角、何気ない話。
雨はあがっているのに男が不満げなのは
なんてことはない。元々こういう顔なのだ。

「ジムにでも行ったらどうですか」
「行ったよ。3日で辞めた」
「三日坊主ってホントに居るんすねー」
部下は日替わりランチをすする。
男は依然つまらなそうな顔で
いつものメニューをいつも通り流し込む。

「趣味なんて無くていいんだよ働いてら」
「何のために働くんですか」
「……老後とか?」
「老後はどうするとかあります?」
「ずっと寝る」
部下は笑った。
「それ、生きてる意味あるんすかね」
「ねえよ」

「田島は何のために働いてんだよ」
「え、俺すか」
「…おお」
男はコイツ本当に礼儀が無いな、と思った。
え、俺すか て。
「俺はアレですよ、…」
田島は無造作に口を拭いた。
「実家がいまだにボロいアパートなんで
もっといいとこ住ませてやりたくて。」



「…ふぅ~ん、…………。」

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