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vol.4-1 所得格差を示す、ゾウ?


皆さんこんにちは!今日も、お越しいただきありがとうございます。

vol.3-2では、株主優遇政策が進められたことによって、日本企業の付加価値が、一部の富裕層や外国人投資家に流失してしまっている!ということをお伝えしました。まだ読まれていない方はコチラから👇

株主優遇政策によって、企業は、既存株主(しかも、単なる短期売買目的の株主とか、外国人投資家)に有利になる情報を与えすぎてしまいました。そうして企業における、株主の台頭を許してしまったのです。

その結果、自社の従業員<株主という構図が生まれてしまいました。

しかも、株主優遇政策の余波は、実際に「従業員給与の伸びの停滞」として現れているのです。今回と次回に分けて、”従業員の所得格差”について①世界的な観点と、②国内の観点から解説していくことにしましょう。


所得格差を示す、ゾウ?


皆さんは、「エレファントカーブ」という名前を聞いたことはありますか?

簡単に言えば、エレファントカーブとは”世界の所得格差”を表したグラフの事をあらわしています。なぜエレファントなのか?グラフを見ていただければ、きっとわかるはずです。

エレファント1

グラフの形がまるでゾウのように見える、という点からそのままそう呼ばれているようです。

このグラフは、1988~2008年までの20年間で、各所得者層(高所得者~低所得者)の所得がどれだけ伸びたのか、ということを表しています。縦軸は国民一人当たりの給与の伸び率、横軸は所得分布をとっていて、上にいけばいくほど給料が増えており、右にいけばいくほど裕福であることを示しています。

まずはこの図を、ゾウの(1)後ろ脚からお尻、(2)背中から頭、(3)口から鼻、(4)鼻の先端に分けて見てみましょう。

(1)後ろ脚からお尻

☛最・最貧国をあらわす。所得の成長が0%を切るところはあるが、多くの国では改善している。

(2)背中から頭

☛新興国や中間所得層をあらわす。所得の成長率はかなり高い。

(3)口から鼻

☛先進国の中間層をあらわす。日本もここに属する。経済成長が謳われているにもかかわらず、所得の成長率は低い。

(4)鼻の先端

☛先進国の富裕層をあらわす。(3)で述べた経済成長の恩恵は、これらTOP1%の富裕層に分配されている。

各所得者層によって全く違う成長率の動きをとっていたことに、驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。


グラフが意味する”オモテ”と”ウラ”


この図をもう一度、次は広い視点から見てみましょう。

画像2

一番目立つのは、やはりゾウの大きな背中から頭の部分ですね。新興国・途上国の多くの人々の所得が伸びて、先進国の人々の所得に追い付いてきています。それ故に、一般的には、世界規模での所得格差は縮小してきていると考えられています。

貧しい人々の所得が伸びてきて、格差が是正されてきた。これは非常に素晴らしいことですよね。しかしながら、コインには必ず表と裏があるように、この図は大きな問題を示唆しているのです。

エレファントカーブの、象の鼻の先端をもう一度見てください。他と比べて、飛躍的に上昇していますよね?ズバリ、先進国の中でも高所得者だけが所得を成長させていたのです。

所得分布をあらわす横軸の80~100の部分(口から鼻)は日本やEU諸国のような先進国が該当しますが、これらの国の経済は成長しているにもかかわらず、所得の増加率は極めて低かったですよね。

先進国であって経済は成長しているのに、成長の担い手である多くの人々の所得は伸びない・・・。反対に、一部のお金持ちだけがその恩恵を受けて、どんどん裕福になっていく・・・。まさに前回指摘した、”富を持つ者がさらに富を得る世界”です。

ここまで、エレファントカーブを用いて世界の所得格差について分析し、先進国の所得の成長率が低いことを指摘しました。では、先進国である日本国内では、所得格差の状況は一体どうなっているのでしょうか?

次回、世界的に見て所得が成長していない日本、その日本国内の所得格差について分析していきたいと思います。




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