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陰性証明がないとタイから出国できない!!(2022年7月)

タイから出国できない!!

タイ・バンコクにものづくり新聞取材のために旅立ったのは7月13日のことでした。日本から出国する際には何のチェックもなく、コロナ前と同じようにスムーズに出国し、タイに到着しました。

タイでの取材も普通に感染対策をしながら取材していましたが、特に飲食店やショッピングセンターも通常通り営業しており、滞在に不便は一切ありませんでした。

7月17日に日本に帰国するためにバンコクの空港へ向かい、チェックインしようとすると、カウンターの係の人が

"You need negative certificate to enter Japan"
陰性証明書がないと日本に入国できないよ

タイ国際航空のカウンターにて

と私に検査センターの場所を教えてくれました。カウンターの人のメモには「NEAR TEST」と書かれたメモが。空港の建物の外にその検査センターはありました。2900バーツを払うとすぐに検査スペースに通され、鼻腔拭い液を取られて15分待ちました。NEAR法は高速にPCR検査ができる方法のようです。

バンコクの空港の検査センター

15分後、係の人が防護服をまとったまま私に近づいてきました。"You are COVID detected. You cannot enter the building. Cancel your flight."(COVID陽性です。ビルに入ることはできません。フライトキャンセルしてください)とのこと。

日本に入国するには陰性証明書が必要というお知らせ。早く教えてよ。

がーん。症状ないのに陽性?本当?しかしそう言われるとだるい気もします。やばい、これからどうしよう。タイミング的に、タイでコロナに感染したのではなく、日本ですでに感染してタイで陽性判定が出た、というタイミングかなと思っています。日本でPCR検査を受けておけばよかったなと思いました。

そういえば、医療保険に入っていました

そういえば、医療保険に入っていることを思い出しました。こういうときにはきっとサポートしてくれるはずだ、と思いつき、保険会社に電話してみることにしました。医療保険はエイチ・エス損保さんの「たびとも」というものです。この保険には新型コロナ感染時の補償がついていたので、これに加入していました。

海外旅行保険「たびとも」ホームページより

電話してみようとしていたのですが、タイのコールセンターへの電話がうまくつながりません。そうすると、LINEで連絡を取る方法があるとパンフレットに記載されていました。

海外旅行保険「たびとも」ホームページより

スマホはネットにはつながっていたので、早速LINEで連絡してみました。

エイチ・エス損保さんのなんと丁寧な対応!!

すぐにコールセンターの女性の方につながりました。あー、日本語で相談できるって嬉しい。

「どうされましたか?」
「空港で検査しましたら、コロナ陽性になりました」
「保険証券番号わかりますか?」(端末かちかちという音)
「いとう様ですね。症状はありますか?」
「今のところありません。」
「病院に行くこともできますがどうされますか?」
「症状ないですから必要ないですかね?」
「みなさんそれぞれお選びになられるのですが、念のためということであればもちろん病院をご紹介することも可能です。」
「ではこれから症状出るかもしれませんので病院行きます。」
「バンコク市内がよろしいですか?」
「はい」
「では日本語も使えて日本の方がよく使われる病院がございます。名前をお伝えします」
「はい」
「サミティベート病院といいます。英語の綴りはSamitivajです。スクンビット49というところにあります。Googleマップで検索できると思います。タクシーで行けると思います」
「たすかります。そこに行ってお医者さんに診てもらえるんですね」
「この保険証券とパスポートを提示いただければキャッシュレスです」
「おおー、そうなんですね」
「それから、陰性になるまでタイに滞在されるということですね。その滞在費用も保険で補償されますのでご安心ください」
「え、そうなんですか?それは助かります。」
「ただ、食事代は補償されませんのでご注意ください」
「わかりました」
「ほかにご不安なことなどありますか?」
「いえ、今のところ大丈夫です」
「それではお大事になさってください。また何かございましたらご遠慮なくおしらせください」

このときのコールセンターの女性の方に是非お礼がお伝えしたいです。お名前をメモするのを失念しておりお名前覚えておりませんすみません。

タクシーに乗って病院へ

タクシーの人に病院の場所をスマホで見せると、すぐに向かってくれました。高速道路を使うので500バーツで行くということでした。しかし、今から思えば、コロナ陽性なのにタクシーに乗ってよかったんでしょうか?

空港のタクシー乗り場

サミティベート病院に到着すると、コロナ専門の窓口があるようで、そちらに向かいました。駐車場スペースに設置されています。

サミティベート病院の看板

受付の人に「空港でコロナ判定されたので、お医者さんに診てもらいたい」と告げるとその人は日本語がわからなかったため、電話で日本語が分かる人につなぎ、その人経由で説明します。
その後、椅子に座って待っててくれ、ということで待つこと1時間。周りにも同じような日本人らしき人たちがたくさん待っています。保険証書とパスポートを渡し、問診票を記載します。これは英語で書かないといけません。そこからさらに30分待ちます。待っている場所は駐車場スペースなのでクーラーがありません。暑い中屋外で待つことになります。

冷房の効かない場所で待つ人たち

血圧測定と血中酸素濃度を測定しますが全く問題ありません。その後さらに30分待つと、お医者さんに呼ばれました。

電話越しで通訳の人をはさんで会話します。

「どうしましたか」
「空港で新型コロナ陽性と診断されました。今のところ症状はありません」
「のどとか痛くないですか」
「そう言われてみるとちょっとのどに違和感はあります」
「これから2週間は出国できないのでフライトは延期してください。その直前に再度検査を受けてください。陰性になったら出国できます」
「え、2週間もですか?その前に症状が改善してもだめですか?」
「陰性にならないと出国できません。2週間後に陰性になる確率は60%くらいです」
「その前に検査受けてもいいですか?」
「お金の無駄ですが、受けてもかまいません」
「滞在中の注意点を教えて下さい」
「できるだけホテルで滞在ください」
「わかりました」
「宿泊するホテルに指定はありますか?」
「とくにありません」
「では薬を処方しておきます。喉の痛み止め、アビガン、解熱剤、咳止め、アレルギー、などです」
「わかりました」

さらに30分待つと、お会計の人が来て「この書類にサインして」と言われます。確かにキャッシュレスで診察を受けることができました。さらに15分ほど待つと、かわいい紙袋を持った看護師さんが寄ってきました。

こんなかわいい紙袋に薬が入ってます
アビガンです。

急いでホテルを予約し、ホテルに向かいます。

お医者さんの話によれば、特に隔離のホテルが決まっているわけでもなさそうで、どこのホテルでも良さそうだったので、バンコク市内のスタンダードクラスのホテルをAgodaで予約しました。タクシーにのってその場所をスマホで示して行ってもらいます。5分ほどで到着しました。

急遽予約したスタンダードクラスのお部屋

さあ、この部屋に2週間も滞在することになるのでしょうか?いつまで滞在かわらかないので一旦1週間で予約しました。

さあ、いろいろ困りました。
・週明けからの仕事どうしよう
・いまは症状ないけど、これから症状出るのかな
・食べるのとかどうすればいいのかな。コンビニとかあるのかな
・着替えとかない。洗濯しなきゃ。ランドリーサービスとかあるのかな

疲れたのでとりあえず寝ることにしました(笑

その夜は発熱と喉の痛みで苦しむ

これから症状出るのではないかという雰囲気を感じたため、近くにあるコンビニまで行き、必要そうなものを買い揃えました。水、ジュース、ゼリー、パン、カップ麺、そして洗濯洗剤。幸いにもお店は空いており、店員さんともほとんど会話せず買い物できました。

コンビニで仕入れた品々

その夜はパンを食べて床に着きました。

すると、深夜、寒気がします。熱が上がっているようです。体温を測定すると39度を超えています。やばい。これがコロナの症状?さらに喉も痛くなってきました。幸いにも解熱剤や喉の薬をもらっていましたので急いで飲みます。数時間格闘したらいつの間にか寝ていました。

次の日(18日)は日本は祝日なので仕事はありません。ゆっくり部屋で休むことができました。薬のおかげで熱は下がり、喉の痛い症状も徐々になくなっていきました。

さあ、そこからは日本へのご連絡です。家族や仕事関係などに連絡を入れます。
「えー、おとうさんいつかえってくるの?」と息子に聞かれますが、残念ながら答えはありません。「さあ、2週間くらい先かなあ」

洗濯しないと着るものがありません。コンビニで買ってきた洗濯洗剤で手洗いしてみるものの、なかなか乾きません。しょうがないのでホテルのランドリーサービスに依頼してみました。パンツ1枚60バーツ。うーん。

ホテル生活は暇かなと思っていたのですが、幸いにも、ホテルのテレビはNHKだけではなく、フジテレビとテレビ朝日も映ります。でも、バラエティ番組がつまらないので、見るものがなくなってしまいました。
かといって、Amazon Prime Video見ようとすると「この地域では見れません」と言われてしまいます。NHKプラスもNHKオンラインもHuluもだめです。タイからは見れないんですね。ネットで少し調べると、VPNソフトというものを入れると見れるらしいことがわかりました。ということで急遽VPNソフトを入れて課金します。すると、Amazon Prime見れる!!嬉しい!!これでしばらく布団の中で暇なときはなんとかなりそうです。

でも、結局見たのは、ドクターX、コードブルー、ホワイトドクターという医療もののドラマばかり。新型コロナで滞在していることもあって私の関心は医療に向いていました。

7月21日に検査してみる!

7月19日からは熱もなく喉も痛くなくなりました。ただ、体がだるいので生産性はあがりません。なんとか電話会議はこなせるようになりました。7月20日には結構元気になってきました。症状がなくなれば陰性になるんじゃないか?と甘い考えが頭をよぎりました。

7月21日に検査の予約をしました。診察してもらった病院は距離が遠かったので、ホテルに近いところに検査できるクリニックを見つけて行ってみました。そこは唾液から抗原定量検査というものをやるところでした。2000バーツ。なぜかお手洗いで唾液を採取し、係の人に渡すと、その日の夜に結果がもらえるという仕組みです。

21日の夜、メールで結果が来ましたが「Inconclusive」。決定的ではない、という意味です。コロナ治りかけのときにこういう判定が出るらしいです。しかし、陰性ではないので証明は出せないとのこと。残念。

しかし、だんだん治りかけているんだなという自信が出てきたので、少し元気になりました。

もうひとつ別のとあるクリニック

7月22日にはもう一つ別のクリニックで検査を受けてみることにしました。そのクリニックは鼻腔拭い液と口の中の両方で判定する検査方法。受付でお金を支払うと(3000バーツ)なぜか検査の前に「厚生労働省の陰性証明書のテンプレート」に署名をして、先に渡されます。その書類には陽性と陰性の欄がありません。検査結果が出たあと、書類を取りに来る手間をはぶくために、先にテンプレートを渡し、自分で記載するというスタイルなのだそうです。

とあるクリニックで渡された結果が未記入の検査証明

え、これって、自分で陰性って書けちゃうってこと?それってありなの?これに陰性ってチェックを付けて空港に行けば飛行機乗れちゃうかも?と思いましたが、さすがにそれはあまりにも不正な気がしました。

その夜結果が出ましたが、こちらは明確に「陽性」。やはり症状がなくなってもしばらくは陰性にならないみたいです。がっくり。

抗原定性検査キットを買って毎日自分で検査

この頃、気持ちはかなり心細くなっており、一人で寂しいなあ、一人でしんどいなあ、誰かと話したいな、という気分になっておりました。電話会議はしていますが、仕事の話しかしませんので、相手から見れば日本だろうがバンコクだろうが電話会議は同じです。

ときどき、ものづくり新聞編集部メンバーと雑談できるのが心の支えになっておりました。編集部のみなさん、その節はありがとうございました!!

ところで、その頃、薬局に行ってみると、タイではふつうに抗原検査キットがたくさん売られています。なんと1セット70バーツしかしません。日本円で約280円です。安い。そこで、この抗原検査キットをたくさん購入し、毎日テストすることにしました。

22日も、23日も、24日も、毎日朝に抗原検査を行います。自分で鼻腔拭い液を採取し、試薬に混ぜて、キットに3滴垂らす。最初は明確に陽性でしたが、次第に色が薄くなっていくのです。これはいい調子だぞ。

そして、25日の朝、抗原検査が陰性になりました。やった!!!

26日に再度クリニックで検査を受けることにしました。

ホテルに近い2000バーツの検査です。その夜、検査結果が来ました。

「Negative」!!!!!

そのメールを見て嬉しくなった私はいそいでクリニックに行き、陰性証明書を頂戴しました。書いてあります「陰性」。やった!!!

この検査から72時間以内に日本に到着するように帰国しなければなりません。28日の成田行きのフライトを予約できました。これでやっと帰れそうです。

この時点ではもう症状はなく、検査結果も陰性ですので、大手を振って外を歩くことができます。ショッピングセンターでお土産を買ったり、バーに飲みに行ったり、タイ料理のフードコートに行ったり、BTSに乗りに行ったり、この2日間だけはバンコクを満喫できました。

そして28日、朝5時にホテルを出て、Grabで捕まえたタクシーで空港に向かいました。そして空港で陰性証明書を見せてチェックインすると、問題なくチェックイン!!!

それから、日本入国のときに必要となるMy SOSというアプリでの登録を行います。これに登録しておくと、入国の検疫でスムーズに通れるとのこと。陰性証明書を撮影して登録すると事前に審査してくれるそうです。

成田空港に到着!!

当初の帰国予定から10日が過ぎ、やっと日本の地にたどり着きました。

成田空港では多数の人が検疫でのチェックを受けています。My SOSを入れていたとしても、あちこち歩き回り、チェックを受けなければなりません。車椅子の人やご年配の方々には大変そうな印象を受けました。

教訓

以上、タイで新型コロナ陽性が発覚し、10日の追加滞在をしてきました。学んだ教訓です。

1)医療保険は新型コロナ対応しているものに加入しておくべき
2)スマホは現地でネットにつながるようにしておくべき
3)日本を出国するときに陽性じゃないかどうか検査しておくべき



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