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産後ママのねがい、「今」と「これから」

ずいぶん久しぶりの投稿になりました。
今日は私がバイトに行っている
助産院での出来事をお話ししたいなと
思います。

これを読んでくださった
ご縁のある皆さんは
「産後ケア事業」というものがあるのは
ご存知でしょうか?

「産後ケア事業」とは産後の育児支援の一環で、住まいの市区町村から補助金を受け、
日帰りもしくはお泊りをして育児支援を
受けられるというものです。

少子化が叫ばれる昨今、育児の環境は
過酷を極めていると思います。
ここ最近はパパも育休を取ることが
ずいぶん当たり前になってきましたが、
それでもママの負担は大きいのは
変わりません。そこをフォローするのに
役立つのが、この産後ケア事業です。

私のバイト先の助産院でも産後ケア事業を
受け入れています。
先日も夜勤バイトに行った際、事業を利用して
1ヶ月のお子さんのママがお泊まりされてました。

ママとお話しした会話を一部抜粋。
プアケリ(以下プ)
「この滞在でどんなことをされたいですか?」
ママ(以下マ)
「休みたいです。何もしたくない」

ほう。何もしたくないか。
相当お疲れなんだなー。と思いました。

産後ケアにおいて、ママの休養は大きな目的の
ひとつです。育児は24時間営業・年中無休。
睡眠時間は短く、子どもは何を言いたいのかわからない時もある…。となると、日々育児に奮闘するママが休みたいと思っても当然です。

ただ、そこでひとつ助産師として注意すべきポイントが。
それが授乳です。
授乳、とくに完全母乳もしくは母乳メインで
やってくれている方にとっては、母乳だけは
誰にも代わってもらえない、代わってあげられないことです。赤ちゃんが母乳を求めるということもありますが、ママ自身のおっぱいトラブルを予防するためにも母乳をしっかり与えていくことは
ママの体を守るためにもとても大切。

そこでママに確認。
プ「そうなんですね、お休みされたいんですね。おっぱいはどうされますか?普段は完全母乳なんですよね?」
マ「できたらここにいる間(2泊3日)はそれも休みたいくらいなんですが…そういうわけにはいきませんよね?」

うん、いかない。笑
だって授乳しないと絶対おっぱいパンパンに
なってママが痛くなるもん。

プ「そうですねー、〇〇さんのおっぱいはとてもよく出てるので、一切やらないとなると痛くなるかと思います」
マ「そうですよね…どうしようか…。1日に20回近く吸わせてて、疲れちゃって」

〇〇さんの「今」の願いは、
「とにかく休むこと」。
でも果たしてそれでいいのか?

もちろん目先の目的を叶えてあげるもの大切。ママ自身の強い望みだから。だけど、じゃあ赤ちゃんの希望は?ママが大好きで、おっぱいが大好きな赤ちゃんはどうすればいい?

赤ちゃんがかわいくて、赤ちゃんに授乳をする必要があることはママも痛いほど分かってるんです。それでもなお「休みたい」という望み。

このママは実家も遠くてお手伝いもなく、パパも転職したばかりで育休が取れなかったとか。
この1ヶ月、赤ちゃんと向き合ってひとりで
がんばる時間が長かった。そりゃ疲れるよね。1日に20回近くおっぱい吸わせて疲れないわけがない…。

え、1日20回?ってすごくない?
いつ寝てんの?もしかして…。
母乳の出方はバッチリ。でも、乳首が
傷ついてる部分がある。うまく吸えてないのか?
(上手に吸えてると、乳首が傷まないことが多いです。しかもたくさん飲める!)

プ「20回も吸わせたらそりゃ疲れますよね。よくやってこられましたね。もし、1日のおっぱいの回数が半分に減ったらどうですか?」
マ「そうなったらすごく嬉しいです。そうしたら自分にもだいぶ余裕が出ると思うんです。」

ママの「これから」の願い。
「授乳の回数が減ること」
ここだ!

プ「乳首、痛いですよね。もしかしたらもっとうまく吸えたら授乳の回数を減らせるかもしれません。うまく吸えるとたくさん飲めて、満足感が増すから寝てくれるかもしれないんです。
もちろんお休みの時間も確保できるようにしますが、3日後にお家に帰ってからの暮らしのためにも授乳の練習してみませんか?」
マ「そうなんですか?それなら試してみます…(半信半疑な顔。笑)」

さっそく授乳の様子を拝見。
予測通り、授乳の仕方に難あり。
赤ちゃんのお口の位置、抱き方等々を
ママの辛さや感覚を伺いつつ調整。

マ「…!痛くない…!」

いつも10分足らずで終わってた授乳が
20分くらいしっかり飲んでくれた。
おっぱいもすっきり軽くなった感じがあるとのこと。

何度か同じ感じで授乳を繰り返しやってみて、
親子で最長3.5時間寝ることに成功!
ママがんばった!

「今」の願いを叶えて、お休みしてもらうことはもちろん大切。だってそれが今のママの望みだから、いくら母乳をあげなくちゃいけないったって
それを否定したらママの心はどうなるのか。
受け入れるって、とっても大切だと思います。

だけど、ママの暮らしはこの産後ケアでの滞在が終わった後も続きます。
また同じことを繰り返しで、また疲れが溜まって気持ちも疲弊して…じゃ、せっかくの赤ちゃんとの暮らしが楽しめないと思うんです。

産後ケアのいいところって、「今」と「これから」のねがいを叶えるための時間にできるっていう点だなー、と実感。

授乳の合間に寝て、授乳をしてまた休む。
シャワーのときに赤ちゃんをお預かりしてゆったり浴びてもらって、料理人さん手作りの美味しいごはんを食べる。

そんな産後ケア期間を過ごしてもらいました。

産後ケアを利用せずとも、街には助産師が
結構たくさんいます。
私はサロンをしているので、サロンで
育児ママのお話を聴いたり、
お悩み相談にも乗ったりしています。

どんなママでも一生懸命だし、我が子を愛してる。そんなママたちが、少しでも楽しく幸せに育児に取り組めれば…と思い、街の助産師は日々奮闘しています。

もしこれを目にしてくださった方の中で育児中のママや、そんなママをご存知の方がいらしたら、
ぜひ助産師とお話ししてみてください。
助産師とお話しすることをオススメしてみてください。きっとあなたに寄り添ってくれるはずです。

今日も今日とて、助産師は進む。
セラピストだって歩みを止めない。
幸せなママと赤ちゃんのために。

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