冬至?何それ美味しいの?

「はぁ……無理だ……」
 冬至について何か書け、と言われたが、別に思い入れも特別な感情もない僕は、無理難題に近い課題にほとほと困り果てていた。
 僕は文字書きとして専門学校に通っていて、勢いに乗りさえすればショートショートくらいは一日で書ける程度には力があるつもりだ。
 だが、今日は……というか、今回のお題は本当に無理だ。
 ずっと放置していたが、流石に今日が期限だしなぁ……。
冬至と言えば何だろう?冬至粥?カボチャ?そういえば今日食べたカボチャ入りシチューのパスタ、不味かったな。
「あのカボチャ、パイにしたら美味しいかな。甘味が足りなかったし、砂糖を入れて……」
って、そうじゃなくって……!
僕は頭をぶんぶん振って、思考を本題へ戻す。
飲み物が欲しくなり、無意識にサイダーのペットボトルを手に取る。
……が、その軽さに、既に中が空になっていたことを思い出して、ペットボトルを置く。
「カボチャサイダー……ふふっ」
 ご当地サイダーでありそう、なんて思った瞬間ハッとした。何バカなこと言ってるんだろう、自分は。
「はぁ~……書けないから、もうお風呂入って寝たい……」
 そういえば今日はゆず湯がどうのこうのって日だったな。以前に僕は蜜柑の皮をお風呂に入れたら、全身が痒くなって仕方がなかったが。
「ゆずの入浴剤、まだあったかな……」
 普段はシャワー派の僕も、今日ばっかりは湯船に浸かりたい。
 外は吹雪いて暗く寒かった中で、寄り道もせずに帰ったのだから。夜の十一時を回ってはいるが、これくらいの贅沢はさせて欲しい。
これでもまだ帰ってから一時間しか経ってないのが驚きだ。
……とは言ったものの、眠気に負けそうになっている僕は
「お風呂掃除する気力あるかな……」
 とぼやく。
「書けなかった事、明日メールで謝ろうかな……」
 って思ったが……
あれ?

……書けてるじゃん。この文。

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