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私にとって特級とは vol.3 〜阪田知樹さん(2011年特級グランプリ)からのメッセージ〜

今年の特級クラウドファンディングのテーマは「愛されるピアニストを共に育てる」

ミニ連載「私にとって特級とは」では、特級グランプリたちの特級からの歩み(コンクール挑戦~現在のご活動)についてインタビューしています。第3弾は、阪田知樹さんにお話を伺いました!

阪田知樹さん(2011年特級グランプリ)

ー 特級のステージでの経験が現在にどのようにつながっているか、具体的なエピソードをお聞かせいただきたいです。阪田さんが特級に挑戦する際の夢(目標)と、特級での経験から新たに描かれた夢についてもお伺いしたいです。

特級に参加した17歳の時は、まだ演奏会での演奏機会がそれほど多くありませんでした。

そのため、参加にあたって、特級での受賞が今後演奏する機会を頂けるきっかけになれば、と一生懸命取り組んだことをよく覚えております。

選曲も、まだ演奏したことのない作品で今後長く演奏していきたい曲を、と自分なりに考えたことがとても良い思い出です。それらは、今でも自分にとって大切な楽曲です。

17歳の挑戦があったからこそ、その後国際コンクールなどに臆することなく挑戦できたのではと思います。

ー 今年の特級クラウドファンディングでは、国内外での活動サポート費用も募集しています。阪田さんはこれまで海外派遣での経験を積んでこられましたが、その中で感じられたことや思い出に残るエピソードはありますか。

ヨーロッパでの演奏機会や、マスタークラス参加はとても刺激的でした。それぞれ異なる国で育った同世代のピアニストと音楽について色々話をしたり、レッスンをしてくださる先生方から、録音でしか聴くことが叶わない巨匠達の演奏やそれ以外のお話を聞いたり…!

演奏会やレッスンなど直接音楽に関わる活動は当然ですが、訪れた先での景色などもとても大切に自分の中に蓄積されています。

スイスでのリサイタル後に山々を眺めた時には、古今東西の作曲家が自然から多くのインスピレーションを受けたことを体感することができた気がしました。

またヨーロッパ内数カ国で初めて演奏会ツアーをした時には、過密スケジュールのためか、途中で熱を出してしまったこともありました。演奏会自体は無事全て演奏することができたのですが、予約して楽しみにしていたウィーン国立歌劇場での『トリスタンとイゾルデ』を観劇できず、悲しかったこともよく覚えています。

ー 特級クラウドファンディングのリターン(特典)として、阪田さんのピアノ編曲集「ヴォカリーズ」をご提供いただきました。ステージで演奏されている編曲をまとめた曲集とのことですが、阪田さんが編曲する際に大切にされていることを教えてください。

まずは編曲をする前に、その原曲がピアノで演奏して魅力的になるかをじっくり考えます。とても好きな楽曲でピアノ独奏で演奏したいなと思っても、ピアノとの相性が良くない場合はどうしても原曲の代替にしかなり得ないので、編曲することを諦めることもあります…。

複雑な多声を演奏できることや音の減衰などピアノで演奏することの特徴を充分に考えた上で、原曲の魅力(歌曲の場合には歌詞が持つ意味など)を損なわないように常に心がけています。

最近は、そこに更に自分なりの視点を盛り込んだこれまでの編曲作品とは一味違う作品も発表しています。(新刊「夢のあとに」7/24(月)発売予定)

ピアノ演奏においてとても大切なことの一つに歌うことがあります。リスト、ブゾーニ、ラフマニノフなど多く名ピアニスト達がオペラや歌曲などの優れた編曲を遺していますが、これらを歌うことなくして奏でることは考えられません。尊敬する大音楽家達へのオマージュとして、ピアノで歌うことを追求する編曲を書いています。

♪アーン/阪田知樹:クロリスに
(こちらの編曲も、楽譜「ヴォカリーズ」に収録されております!)

ー 特級挑戦者へメッセージ

師事している先生の前や学内試験での演奏、コンクールでの演奏、演奏会での演奏は、それぞれ異なる緊張が待ち受けています。特級はコンクールではありますが、多くの方々が関心を持って聴きにいらっしゃいますし、演奏会のような雰囲気もあります。

セミファイナルでのソロの演奏時間は、比較的長いですし、ファイナルではオーケストラとの演奏があります。私は、特級ファイナルがオーケストラとの初共演だったこともあり、「コンクールとして以上に演奏会として楽しまないと折角頂いた機会がもったいない!」という気持ちで演奏に臨みました。

今年参加をされる皆様も是非、音楽に没頭して、「自分の演奏会」を多くの聴き手の方々に届けて下さい!応援しています!!

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◆阪田さんより直筆サイン入り「ヴォカリーズ」をリターンにご提供いただきました!(先着10名)

「ヴォカリーズ」(2022, 音楽之友社刊)

「若手実力派ピアニストとして知られる阪田知樹が折々に綴り、自らもたびたびステージで取り上げている編曲から、特に出版を望む声の多い楽曲を選りすぐった編曲集。作編曲家としての横顔も持つ阪田が、広く親しまれる歌曲を、あたかもピアノのために書かれた楽曲であるかのように流麗に生まれ変わらせている。
技巧に偏ることなく、歌曲本来の旋律の美しさと音楽性に軸をおいた編曲は、中級者でも取り組めるだけでなく、高い音楽性を満足させるものとして、上級者、専門家にとっても稀有なレパートリーとなるだろう。
さらに、ラフマニノフ《ヴォカリーズ》では歌曲版に基づく嬰ハ短調版の編曲に加え、ラフマニノフ自身が編曲した管弦楽版に基づいて阪田がピアノ用に編曲した【簡易版】を収めた。」

編曲という手法によって、「ヴォカリーズ」では、原曲が輝きを増したピアノ作品として再び出会うことができるのかなと感じています。ピアノで歌うことを追求した、阪田さんの音楽が多くの人々に届くことを願っております…!

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現在、特級クラウドファンディングの支援総額が2,268,000円に到達しました。

「演奏家になりたい」「指導者になりたい」「子どもたちと音楽を楽しみたい」、、、それぞれのピアニストの夢を応援しながら、音楽が社会(ひと)を豊かにするサイクルを創っていきたいと思います。

引き続き、温かいご支援・ご声援、どうぞよろしくお願いいたします。

◆プロジェクト期間:7月6日(木)10:00~8月21日(月)23:00
◆目標金額:300万円
◆資金の使途:
 1)サポーター賞の賞金:115万
 2)国内・海外での活動サポート:134万
 3)クラウドファンディング経費:51万


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