飯田有抄のショパコン日記21〜小林愛実さんを全力エール耳で聴く
早いもので、2次予選も最終日であります。怒涛のショパン量に溺れそうだったのに、あれ? という感じです。ポーランドに入国して6日目。じつは最初、疲労困憊だったけど、だんだん体も馴染んできましたので、今日はどんどんレポートします。何せ、今夜は発表ですから。その日の演奏、その日のうちに!
昼の部の最後の演奏者として、小林愛実さんが登場しました! 幼い頃から「ショパン・パスポート」というものをポーランドから授与され、ワルシャワの人々に愛されてきた愛実さん。前回のコンクールでもファイナリストですから、やはり各方面からの期待も熱い奏者のお一人ですね。
今回、6年前に演奏した曲は、ひとつも入れずにプログラムを組んだそうですよ。ショパンの名曲は数あれど、長いラウンドを全て別の曲で揃えていくのは、やはりすごいこと。それもキャリアと実力のなせるワザ。
「幻想ポロネーズ」とバラード第2番は、ショパンの作品のなかでも、すごく暗さのある曲だと思います。この2曲を、二次の前半2曲に選んだ愛実さん。揺るがぬ強い想念を、ぐーーーーっと音楽に乗せていきます。音楽的にはさまざまな出来事が起こるし、曲想も激しく変わりますし、愛実さんはそれらを多様な音色変化や重さの掛け方などで、奔放に表現していきます。でもなんというか、通底する暗さ、その想いの濃さが魅力となって、聴き手の耳を引っ張るんですよね。ぐーーーっと。
ワルツ5番や、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズでは、コロコロとした羽の生えたようなタッチで紡ぐ軽やかな音色も繰り出していました。
演奏後、客席の拍手の長さといったら!! かなり沸いていましたよ。でもステージに愛実さんが再び現れることはありませんでした。3次のステージに再び登場されることを願って待ちましょう!
※記事の速報性を上げるため、写真は1次予選のときのものです。
写真:©Wojciech Grzedzinski/ Darek Golik (NIFC)
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