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#ブラームスはお好き? ブラームスが推しのピアニストが語ります!

2/24(土)に開催される「特級ガラコンサート」。ファイナリスト4名が再び集ってひとつの物語を紡ぐコンサート、今年の主題は、運命の糸に導かれるように、ヨハネス・ブラームスが遺した4つの美しい小品集となりました。

今回は珍しい「オール・ブラームス・プログラム」ということで、2/13に出演者3名による「#ブラームスはお好き?」と題したインスタライブを開催しました!どんどん出てくるブラームス愛にあふれたコメントの数々を、ダイジェストでお届けします。

▼インスタライブは、アーカイブ配信中▼

インスタライブ出演:鈴木愛美三井柚乃嘉屋翔太
コメント出演:神原雅治

後期小品集を語ろう!

鈴木Op.119はもともと1番が好き。弾き始めてみて、すべてがお気に入りになりましたが、2番に特に思い入れがあります。

三井Op.118の中では5番のロマンスがお気に入りです。

嘉屋:作曲家としてのブラームスの凄みを感じるのは、Op.118の4番でしょうか。ブラームスは聴いていて美しいというベクトルと、弾いていて楽しい・見ていて面白いというベクトルの違いを感じます。
弾いてみてわかるのは、良く「書かれて」いる曲と良く「聞こえる」曲が必ずしも一致している作曲家ではないということかと。

例えばシンフォニーの3番の3楽章は、割とメロディーラインがはっきりしていて、それ以外の楽器は伴奏とはっきりパート分けがされていてシンプルですが、メロディが歌えて聴いていて楽しい曲。逆に、Op.118-1みたいに一連の音の流れがすごくて、一筆書きみたいな印象を持つ曲は、「メロディライン歌ってみて」って言われても、弾いていないと難しいのではないかと思っています。「好きな曲」っていったときに、弾き手と聞き手の観点の違いから生じてくるズレっていうのは感じますね。

それも含めて、弾き手として「聴きやすさ」を提示することが大事なのだと思います。Op.119-2の聴きどころをプロデュースするとしたら?

鈴木:冒頭は内にある”Agitato”(アジタート)を強く感じます。

嘉屋:あの曲想の中で”Agitato”を和訳するとしたら?

鈴木:不安、でしょうか。見えない、不安。

嘉屋:そうすると、中間部とのコントラストがついてきますね。冒頭のAgitatoと中間部の”grazioso”とのコントラストに注目して聞いてほしいですね。

鈴木:Op.119-3は軽さが魅力です。弾き方の解釈もそれぞれで、人によって全然違います。

嘉屋:軽快さがあるものは後期では珍しいですね。あの曲に「間奏曲」ってつけたブラームスの心境も興味深いです。Capriccio(奇想曲)とつけてもよさそうですが。

三井:私は小品が好きなんです。作曲家の魅力が詰まっていて、完璧だけれど自由さもある。Op.118は6曲が集まってひとつの人生を感じられると思っています。

嘉屋:Op.118はカラーパレットとしても潤沢な感じがします。拍子も多彩ですね。

三井:Op.118-2は拍子が天才的と感じます。

鈴木:Op.118-2は長いけど、言ってしまえば「ドシレー」と「ドシラー」の要素だけで成り立っている曲。それをあそこまで展開して、あーでもない、こうでもないと名曲を作り出せたのはすごいです。

嘉屋:Op.116-6のコラールを広げていくと、そういうスタイルになるのかもしれません。コラールはブラームスの作曲家としての根幹。交響曲1番にもクラリネットソナタにも魅力的なコラールがあるけど、Op.118はそれをうまくコントラストにしていますね

Op.116は一連の作品集として見ると、頭一つ抜けて、とても出来がいい作品だと感じます。一つの曲集として聴いてもらうと魅力が伝わると思います。

ここで神原さんより、Op.117の聴きどころが届きました!

ブラームスの初期の作品は若い熱が感じられる作品が多くありますが、後期の作品は誰かに何かを伝えると言うよりはブラームスのひとりごとのような、また回想しているような作品だと感じます。ブラームスはop.117を苦悩の子守唄と呼んだそうですが、安らぎを感じるような場面でも諦めの笑みを浮かべているような、どこか暗さも感じるところが魅力だと思います。

嘉屋:「苦悩の子守唄」と聞いて思い浮かべるのは2番でしょうか。本番を楽しみにしています!

ところで、ブラームスって年を重ねないとわからないの?

嘉屋:個人的には、本当にブラームスが作曲しているとき、そんなに死を間近に感じて云々かんぬん・・・って書いていたのか?というのは疑問ではありますね。割とエネルギッシュな作品が多いですし、後期の作品も「この人パワーがあるな」と感じるものが多いので、何でもかんでも死に結びつけなくてもいいのかなと、正直思っています。

ブラームスはお好き?推しポイント教えてください!

ブラームスはお好き?

三井:若々しいけど老成したところにあって、大胆だけど内気みたいなところが、ブラームスの魅力です。内向的だけど、殻に閉じこもってるわけじゃなくて、自分の内との対話だから演奏者のすべてが現れると思います。

鈴木:ブラームスが生きた時代の流行りとしては、自分の感情をそのまま投影した描写が流行りではあったけれど、あえてそこには乗らずに、ベートーヴェンをはじめとするそれまでの作曲家をすごくよく研究しています。それこそシンフォニーの1番もベートーヴェンの交響曲第10番と言われますし。そういう中でもブラームス特有の和声の移り変わりとか、すごく独特の立ち位置を歴史上で残した作曲家だと思います。

その時代では、面白みがないな、とか、保守的だな、とか思われたかもしれないけど、今生きてる人たちにとっては、それが逆に魅力となりますね。

嘉屋:個人的には、全然違う国だけど、ラヴェルにちょっと性質や傾向が似てる感じがしています。聴き映えよりも、作品の手法だったり、細々したところまでしっかり論理的に詰められている作曲家というイメージはあります。それこそバッハのような職人技的な部分もあり、それゆえに好き嫌いが分かれる作曲家。最初はとっつきにくいと感じるかもしれませんが、弾き手としては聴いてくださる方に、ブラームスの良さが少しでも伝わると嬉しいです。

インスタライブ無事終了!

若きピアニストたちをここまで魅了するブラームス。これは4人の音楽を音楽ホールで聴くしかない!2/24(土)のJ:COM浦安音楽ホールにてお待ちしております。

コンサート概要

特級ガラコンサート2023「一輪の薔薇が咲いて」
~特級ファイナリストが紡ぐ、ブラームスの午後~
4つの愛しきモノローグ

日時 2024年2月24日(土) 14:00開演(13:30開場)
会場 J:COM浦安音楽ホール コンサートホール
出演 鈴木愛美、三井柚乃、神原雅治、嘉屋翔太
料金 一般3,500円/ピティナ会員・学生3,000円


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