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反田恭平さんの「ラルゴ」~2021ショパンコンクール

今日10/14(木)から始まる3次予選。日本のコンテスタントたちのプログラムを以下のサイトにまとめてお知らせしました。

その中で、反田恭平さんのプログラムに、見慣れない作品が入っています。否、反田さんのピアノを聞いてこられた方々には「ショパンのラルゴ」としておなじみのものかもしれません。そして彼の思い入れも。

10/14(木)24:00(翌0:00) 
3つのマズルカ Op.56
ソナタ第2番 変ロ短調 Op.35 「葬送」
聖歌「神よ、ポーランドをお守りください」変ホ長調(ショパンによるハーモニゼーション、遺作)
ポロネーズ第6番 変イ長調 Op.53 「英雄」

3次予選を前に、反田さんが、Twitterで以前の投稿を再度リツイートして示してくれました。

この曲との出会いについては、以前のインタビューでも語っていましたし(インタビュー後半部)、

そして、今回のライブ配信の休憩中の番組「Chopin talk」にゲスト出演した際にもわざわざ話してくれました。


コンクールの公式サイトでは、以下の作品解説ページへリンクされています。

コンクール公式サイト(国立ショパン研究所)による作品解説

上記作品解説ページ(英語)を、拙いものですが日本語に訳してみました。

1825年11月、ショパンは自分の新しい仕事のことを自慢しています。「毎週、日曜日に聖母訪問協会(Visitandines、ショパンが少年時代に頻繁に訪ねていた教会)でオルガンを弾き、他の仲間たちが歌います」。仲間とは、リセウム(中等教育機関)の学生時代の友人たちのことです。当時、ミサの最後には「Boze, cos Polske (God save Poland) 神よ、ポーランドは汝のもの(ポーランドをお守りください)」を歌う習慣がありました。ショパンはその旋律を記憶していたのでしょう。後にパリで、おそらく故郷の友人のために、オルガン風にハーモニゼーション(和声づけ)したその旋律をスケッチし、「Paris, 6 July」と年号を記しているのです。

1938年にルドヴィク・ブロナルスキによって出版されたそのアルバムの一葉は、最近まで「変ホ長調のラルゴ B.109」とされていました。現在では、ショパンがワルシャワ・リセウムでの最後の年に教会で演奏した「Boze, cos Polske」という曲のメロディであることが分かっています。

タデウシュ・ジエリンスキは、この変ホ長調のラルゴを、クスティーヌ侯爵が、ショパンが侯爵の居間で即興演奏をしたという記録の中で、「ポーランド人の祈り」と呼んでいた作品ではないかと推測しています。確かなことは分かりませんが、そうとしか思えないのです。

解説:Mieczyslaw Tomaszewskiミエチスワフ・トマシェフスキ
「ショパン全集」と題された一連の番組(ポーランド・ラジオ2)にて
翻訳:ピティナ広報部
国立ショパン研究所(ショパン国際ピアノコンクール)作品解説ページより引用


反田さんの、ショパンへの愛、留学生活を過ごすポーランドへの愛、そしてもっと大きな何かへの愛が感じられるプログラミングなのかもしれません。すべては、今夜の反田さんの演奏が、明らかにしてくれるはずです。

ヘッダ画像は、マルタ・カルシさんが撮影してくれた、金色に染まる美しいワルシャワです。


◆10/25追記
3次予選で演奏した「ラルゴ」の曲目別の演奏動画が出ましたので追記します。


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