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飯田有抄のショパコン日記51〜ファイナル全員の演奏が終了! 圧巻の熱演が!

これまで2次予選から会場で演奏を聴いてきまして、次々とすばらしい奏者たちに出会いながらも、全員をカバーできてきたわけではありません。本日の奏者のなかでは2名、これまでなかなかご紹介仕切れなかった方々がいますので、結果発表の前に少しずつだけでも書きたいと思います。

本日のトップバッター小林愛実さんの次に演奏されたのは、ポーランドのヤクブ・クシュリックさん。この人の音がたまらなく好きで、noteでもご紹介してきました。

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協奏曲は1番。オーケストラの音楽がかなり快速なテンポで推進力まんまん、それもわりとボリュームもあります。クシュリックさんのあったかい音がここにどんな風に入ってくるかと思いましたら、柔らかいのに驚くほどよく通る音色で登場されました。オーケストラがやや攻めの姿勢で鳴らしてきても、この人の懐深い音色とはむしろ程よく調和して、全体がとても立体的になりました。

休憩を挟み、登場したのは韓国のイ・ヒョクさん。今回のプログラムブックではヒョク・リー Hyuk Leeと表記されています。まだ21歳です。これまでご紹介できていませんでしたが、彼も素晴らしいピアニストです。
いつも屈託のない明るい笑顔でステージに登場し、これから演奏するのが嬉しくて仕方がない、という様子。その笑顔だけでも聴衆を魅了します。

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協奏曲は第2番。カワイのピアノです。昨日2回ガジェヴさんとガルシアさんの演奏で聴いたはずの2番ですが、ヒョクさんの演奏ではまた全然違う!第1楽章ではこの作品の持つシリアスで厳しい表情をドラマティックに提示します。抒情性と切れ味の良さの混在した音色で、コンチェルトらしいゴージャスな音楽作り。

第2楽章ではピアノの音域ごとにみごとに音色を変え、まるでオペラのように聞こえるドラマティックな展開で、とても印象に残りました!

いよいよトリを飾る最後の奏者はカナダの24歳、ブルース・リウさん。運動性能キレッキレ、硬質でよく通る音色のピアノを弾く方です。これまであまり取り上げきれなかったのは、正直申し上げまして、それ以上の印象がうまく言葉にできそうになかったからなのです(ごめんなさい)。

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しかし彼は最終奏者に相応しいコンチェルトを聴かせてくれました! オーケストラの颯爽たる演奏を受けて、説得力のある堂々とした響きで第一主題を提示。音型の機微をよく捉え、アイディアたっぷりに示しながら、全体の流れも素晴らしい。ファツィオリのピアノをしっかりと鳴らし切るため、オーケストラも生き生きと全力で鳴らしてきますが、それがなんとも祝祭的で心地よいのです。
音楽の構成感にスリリングな展開を持たせ、ひとつの楽章内でも場面転換が鮮やか。これは惹きつけられますね。緩徐楽章の第2楽章でも山場を適度に作りながら、聴衆の集中力を高めます。第3楽章は大小さまざまな音楽的イベントを、やはりアイディアたっぷりに提示しながら、フィナーレとしてのクライマックスを見事に形成。

会場から割れんばかりの喝采とスタンディングオベーションを巻き起こしたことは言うまでもありません。



さあ!!!!もう結果はまったく予想できません!!!!12者12様、こんなことってあるのでしょうか。23:30の結果発表はいったい実際には何時になるのか?! 日本の皆さんは朝の活動に支障がでない程度に待ちましょう。ポーランドにいる人たちには長い長い夜になるかもしれません?!


※記事の速報性を上げるため、写真はリハーサルのときのものです。
写真:©Wojciech Grzedzinski/ Darek Golik (NIFC)

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