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クライバーンコンクール:1次最終日、田所マルセルさん出演。そして結果発表へ

1次予選は早くも最終日。午前・午後・夜のセッションが行われた後、30名の中から次のラウンドへ進む18名が昼12時半頃を目途に発表されます。2次予選は翌日からすかさず始まりますので、コンテスタントにとってはひとつの正念場です。

3日目の2番目、日本時間6/5(日)0時45分からは、日本/フランスの田所光之マルセルさんが出演。日本の菊里高校(名古屋)音楽科出身で、ピティナや全日本学生音楽コンクールでも入賞。フランスでは、パリ地方音楽院・パリ国立高等音楽院でオリヴィエ・ギャルドン、ジャン=フランソワ・エッセール、フローラン・ボファールといった名匠たちに師事したのち、エコール・ノルマル音楽院で名教師レナ・シェレシェフスカヤ氏に師事しています。シェレシェフスカヤ先生といえば、アレクサンドル・カントロフ(2019チャイコフスキーコンクール1位)レミ・ジュニエ(2012エリザベート王妃国際コンクール2位)ルカ・ドゥバルグ(2015チャイコフスキーコンクール4位)ら個性豊かな門下生を輩出した最高峰の名教授。田所さんも、このところ数々の国際コンクールで素晴らしい演奏を重ねている俊英、要注目です。


まずは、3日目の出場者とタイムテーブル(時間は日本時間)、曲目(日本語)をまとめます。

第7グループ 6/5(日)0:00(現地6/4(土)10:00am)

0:00 Shuan Hern Lee(オーストラリア、19歳)
ハフ:Fanfare Toccata(委嘱新曲)
ハイドン:ソナタ 変ホ長調 Hob.XVI:52
ショパン:舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
バラキレフ:東洋風幻想曲「イスラメイ」

0:45 Marcel Tadokoro 田所光之マルセル(フランス/日本、28歳)
ハフ:Fanfare Toccata(委嘱新曲)
ラモー:組曲 ホ短調 RCT 2 より 「ミュゼットとロンド―」
ベートーヴェン:創作主題による6つの変奏曲 ヘ長調 Op.34
リスト:超絶技巧練習曲第5番 「鬼火」
ストラヴィンスキー:「ペトルーシュカ」からの3つの楽章

(20分休憩)

1:45 Federico Gad Crema(イタリア、23歳)
D.スカルラッティ:ソナタ ニ短調 K.213
ハフ:Fanfare Toccata(委嘱新曲)
メンデルスゾーン:厳格なる変奏曲 Op.54
スクリャービン:幻想曲 ロ短調 Op.28

第8グループ 6/5(日)朝4:30(現地6/4(土)2:30pm)

4:30 Honggi Kim(韓国、30歳)
D.スカルラッティ:ソナタ ロ短調 K.87
D.スカルラッティ:ソナタ ロ短調 K.27
D.スカルラッティ:ソナタ ト長調 K.13
D.スカルラッティ:ソナタ ト長調 K.455
ハフ:Fanfare Toccata(委嘱新曲)
チャイコフスキー=プレトニョフ:「くるみ割り人形」からの組曲

5:15 Kate Liu(アメリカ、28歳)
シューベルト:アレグレット ハ短調 D.915
ハフ:Fanfare Toccata(委嘱新曲)
プロコフィエフ:ピアノソナタ第8番 変ロ長調 Op.84 「戦争ソナタ」

(20分休憩)

6:15 Jinhyung Park(韓国、26歳)
ハフ:Fanfare Toccata(委嘱新曲)
ドビュッシー:映像 第1集
リスト:ヴェネツィアとナポリ

7:00 Dmytro Choni(ウクライナ、28歳)
ハフ:Fanfare Toccata(委嘱新曲)
シューマン:ノヴェレッテ 嬰ヘ短調 Op.21-8
ラフマニノフ:ピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.36 (1931年版)

第9グループ 6/5(日)朝9:30(現地6/4(土)7:30pm)

9:30 Changyong Shin(韓国、28歳)
ハイドン:ソナタ ハ長調 Hob.XVI:50
ハフ:Fanfare Toccata(委嘱新曲)
ショパン:ノクターン ロ長調 Op.62-1
グラナドス:「ゴイェスカス」より「愛の言葉」

10:15 Ilya Shmukler(ロシア、27歳)
J.S.バッハ=ブゾーニ:トッカータ、アダージョとフーガ ハ短調 BWV564
ハフ:Fanfare Toccata(委嘱新曲)
ストラヴィンスキー:「ペトルーシュカ」からの3つの楽章

(20分休憩)

11:15 Yunchan Lim(韓国、18歳)
ハフ:Fanfare Toccata(委嘱新曲)
クープラン:クラヴサン曲集第4巻 第21組曲 より 「クープラン」
W.A.モーツァルト:ソナタ第9番 ニ長調 K.311
ショパン:「ドン・ジョヴァンニ」の「お手をどうぞ」の主題による変奏曲 Op.2


最終日は、国際コンクールで既に高い実績を持つピアニストが目白押しです。

やはり知名度や注目度の筆頭は、2015年ショパンコンクール第3位のKate Liu ケイト・リウ(アメリカ、28歳)でしょう。今回は各ラウンドともシンプルでメッセージ性の強い大曲を集めており、力の入れ具合がうかがえます。

トップバッターのShuan Hern Lee(オーストラリア、19歳)は、進藤実優さんや森本隼太さんも出場した2019年の第2回クライバーン・ジュニア国際の優勝者。16歳当時から既に高い技巧と大人びた表現で聞かせました。

Honggi Kim(韓国、30歳)も、香港1位(2019)ハエン1位(2018)ジュネーブ3位(2014)など有数の国際コンクール入賞歴を持ち、ミュンヘン音楽大学で、尾崎未空さんらも師事するアンティ・シーララ教授に学んでいます。前回のクライバーン(2017年)でもセミファイナルまで進んでいる実力派です。

Dmytro Choni(ウクライナ、28歳)は、スペイン有数のコンクール、サンタンデールの優勝者(2018)で、リーズ(2021)やブゾーニ(2017)などの大コンクールで入賞しています。

Changyong Shin(韓国、28歳)も、ジーナ・バッカウアー(2018)ソウル(2017)ヒルトン・ヘッド(2016)で優勝している実力派。現在は、前回の記事で紹介したニューイングランド音楽院で、名匠Wha Kyung Byun教授に学んでいます。


3日目の演奏が終わると、いよいよ日本時間の6/5(日)昼過ぎ、おそらく12時半頃には2次予選(クオーターファイナル)へ進む18名が発表されます。

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