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審査員の交代~アルゲリッチとフレイレのキャンセル

開幕まであと9日にせまった第18回ショパン国際ピアノコンクール。審査員や日程など、改めて詳しくご紹介しようと思っていた矢先の9月23日、審査員交代の大きなニュースが飛び込んできました。

公式サイトのニュースはこちら

要約すると、「ネルソン・フレイレが病気により審査をキャンセル、長年の友人であるマルタ・アルゲリッチもこの困難な時期に彼と一緒にいることを決めた」ため、とのことです。

このお二人に代わり、直前ではありますが、マルタ・アルゲリッチが優勝した1965年大会で第2位に入賞したブラジル出身のピアニスト、アルトゥール・モレイラ・リマ氏が審査員に加わりました。

モレイラ・リマ氏のプロフィールはこちら

アルトゥール・モレイラ・リマは、1940年生まれの81歳。アルゲリッチが第1位を受賞した1965年のショパンコンクールで第2位に入賞した名ピアニストで、コンクール当時も人気が高く、その後もコンクールやコンサートで活躍しました。日本でも、ショパン名曲集やノクターン集などの70年代の録音が発表され、人気を博した演奏家です。キャリアの後半は、ブラジルや南米の作品の紹介、コンサート等がなかなか届かない土地での演奏など、独自の音楽活動を展開し、非常にユニークな取り組みを重ねていきました。

フランスではマルグリット・ロン(ロン=ティボー国際コンクールに名を残す)やジャン・ドワイヤンに学び、その後、ロシアではレフ・オボーリン(第1回ショパンコンクールの優勝者でアシュケナージらの師匠)とヤコブ・ザーク(第3回ショパンコンクール優勝者でエリソ・ヴィルサラーゼらの師匠)の推薦を受けて、ルドルフ・ケレルに学んだといいますから、どれほど期待された俊英だったかが分かります。

彼のショパンコンクールの際の演奏が、国立ショパン研究所のYouTubeに掲載されています。

ショパン:幻想ポロネーズ Op.61(第1次予選より。サムネイルには、第1位のアルゲリッチと並んで座るモレイラ・リマの姿)

ショパン:スケルツォ第2番 Op.31(入賞者演奏会より)


これにより、本大会の審査員は1名減って、17名で行われるようです。詳しい審査員情報は、追って当サイトでもご紹介していきます。


カバー写真:©NIFC

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