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最終結果を決める評価と審査会議の手順(情報編)~2021ショパンコンクール

ショパンコンクールは本選の2日目をむかえ、いよいよゴールが見えてきました。3日間の本選を終える10/21(木)早朝(日本時間)には、最終結果(順位や特別賞)が発表されます。

「本選」あるいは「最終結果」の審査会議はどのように行われるのでしょうか。

1次~3次は、以下の記事でご紹介したとおり、基本的にはYes/No(次へ推薦したいかどうか)システム+採点システム(平均点)の組合せで決められてきました。(詳しい調整過程などは省いて説明しています)。


最終結果の決定手順も、審査ルールに定められています。我こそはという方は、ぜひ公式ページの以下のルールを読み解いてみてください。「Rules of the Competition Jury」がそれにあたります。


ここでは、要点をかなり単純化して、説明を試みてみますが、現場で実際に行われている詳細な手順との細かい相違があるかもしれず、その場合には予めお詫び申し上げます。あくまでもルールの概要をお伝えするものです。また、例えば「1から10まで付ける」はファイナリスト10名を想定している可能性があり、12名となった今回どうなるのか、など詳しいことは不明です。

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ポイントは以下のとおりです(分かりやすくするため、ある程度、意訳しています)。

1から10までの自然数を用いて出場者を採点(1が最高点、10が最低点)。この採点が、そのまま「こういう順位・最終結果であってほしい」という様子を表すように採点する。
・もちろん「生徒」は採点できない
すべてのステージの内容が考慮される。
「最高点」は1人の出場者のみに付ける。(2人とも最高だった、というのはナシ)

「10点が最高点じゃなくて、1点が最高点って分かりにくっっ!」とか、そんなツッコミは、とりあえず置いておきましょう。でも、順位をそのまま示してもらうとすると、そうでもないのか、とも思ったり。とにかく、最初に間違えて提出する審査員の先生が絶対に1人や2人は出そうですが、そこは丁寧に確認していくのでしょう。(現場の発想)

ここまでのステージは「このステージを聴いて、次も聴きたい?Yes/No」と問うてきましたが、もう最終ステージですから、コンクール全体を振り替えてどういう順位付けにするかを考えてもらう採点方法なのですね。


さて、ここからは細かい手続きの話ですが、以下のとおりです。クラクラするので、参考程度の話です。

(1)平均点順のリストを提示したうえで、基本的な受賞プランが提示され、審査員の3分の2以上の賛成があれば、このプランどおりに決定する。

(2)このプランが否決された場合、平均点が上位のものから、「第●位をこの人に授与してよいか」の投票を順番に行う。その出場者を生徒に持つ審査員以外の過半数の得票があれば、その順位に決まる。否決されると、次の平均点の者をその順位にするかを投票する。それも否決された場合、そもそもその順位を出すかどうかを投票する。


要点は、「基本的には点数順どおりに決めてあげたいのだけれど、その基本プラン全体に3分の2以上の審査員の賛成が得られない場合は、各順位ごとに分解して1つずつ丁寧に決めていきましょう」という感じでしょうか。(こんなにざっくり言っていいのか・・)

これを1つ1つやっていったら、それはそれは大変なプロセスになり、発表が30分でも1時間でも予定時刻より押してしまうのは当然ですよね・・。審査会議を運営するスタッフの皆様や審査委員長のご苦労をお察ししてしまうピティナ・ピアノコンペティション主催者です。

そういうわけで、最終結果の発表は、3次までの発表以上に気長に優しい気持ちでお待ちしましょう、という話でした。


写真:©Wojciech Grzedzinski (NIFC)

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