飯田有抄のショパコン日記58~ワジェンキ公園でショパンからの声が?!
ワルシャワの観光スポットとしても人気の高いワジェンキ公園。日本国大使館のすぐ横に広がる、広大な敷地の公園です。この中に、とても有名なショパン像があります。
大使館の方から歩いて行くと、ショパン像まで美しい景色を楽しむことができました。
曇天の中、小さなカメラとiphone(古め)で撮影した写真です。荷物の関係でこの日は諦めた大きなカメラを、やっぱり持ってくればよかった!と大後悔(カメラ好きあるある)でしたが、記録したくなる瞬間の数々でした。
さて、公園内のやや山道っぽい細い通りを登っていた時、びっくりすることがありました。この日は少し風のある日ではありましたが、私とマルタさんがその坂を登り切るか切らないかというところで、10秒ほど、物凄い音がしました。
突然の暴風です!周りを取り囲む木々が一斉にザザザザーー!!!と一気に物凄い音を立て、あまりのことに、私たちは目を見開いて顔を合わせたほどです! あまりの迫力に恐怖心すら覚え、全身に鳥肌が立つほどでした。あんなに凄まじい風の音は、これまでの人生で一度も聞いたことがない。まったく言葉が追いつかない経験。
そしてその音が急にピタッ・・・ と静まり、細い道から眼前に広がった空間に突如現れたのは、
ショパン!
風で巻き上げられた黄金の葉に彩られて、かの有名なブロンズ像が目の前に!
この時の感動は、もはや畏怖に近いものでした。
私もマルタさんも、ちょっと言葉を失いました。今のは何だったの・・・?と。
ショパンの像の前まで歩いてきて、ベンチに腰掛け、二人で結論を出しました。「きっとショパンだね」と。
3週間にわたるコンクールで、熱演を繰り広げる若いピアニストたちの音楽の力を、レポートし続けた我々に、ショパンが声をかけてくれたのかな、と。もう、そういうことにしました。
観光案内の写真で見るよりも、巨大な印象で、近づくとショパンに見下ろされる感じがまた少し怖いほどのブロンズ像。5〜9月には、毎週日曜日にこの像の横でコンサートが行われているそうです。それも聞いてみたいけど、紅葉の中で出会えたショパンも素敵でした。
(写真:飯田有抄/ピティナ)