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1次予選課題「エチュード」選択数を数えてみました~2021ショパンコンクール

10月2日のオープニングコンサートを経て、いよいよ3日(日)17時(日本時間)から始まる1次予選。復習ですが、以下の通りの日程や課題です。

◆スケジュールはこちら(公式サイト) ※STAGE 1をクリック

◆本大会の課題曲(復習)

1次予選の課題曲は、大まかに言って、以下の3つ(4曲)です。

(1)エチュード2曲(予備予選で演奏していない曲、a群・b群より1曲)
(2)ノクターン系のゆっくりの作品(指定リストから)1曲
(3)大きめの曲 = バラード、スケルツォ、幻想曲、舟歌から1曲

7月に行われた予備予選の課題と似ているのですが、「マズルカ」はなく(この先のラウンドで演奏)、7月とは別のエチュードを準備しなければならないことと、メインディッシュの一覧に「スケルツォ」が加わっていることが大きな相違点です。

今回もまた、ウェブサイトの各演奏者の小窓を開きまくって、数えてしまいました。。頑張って数えましたが、もし転記等の誤りがありましたらご容赦いただきたく予めお詫び申し上げます(正式発表データではなく、趣味のデータ!?です)。

※なお、訂正されると思いますが、10/1(金)現在、竹田理琴乃さんとMarcin Wieczorekさんのエチュード選択が、a,b群から各1曲という条件を満たさない表記になっています。竹田さんは直前の演奏会の様子からOp.25-11でなくOp.25-4を準備されている可能性が高いのでそのように集計、Wieczorekさんは不明でしたので、いったん集計から除外しています。

さて、それでは、この10月、本大会の1次予選のエチュード選択数ランキングです。

エチュード選択数ランキング画像

じゃじゃーん!

じゃじゃーんって言われても、、って感じですね。ピアノ曲やコンクールに詳しい方は、このデータから「ふむふむ」と思われることがあるかもしれませんが、なかなかそこまでは難しいです。それでは、試しに7月の予備予選のときのランキングと比べてみましょう。以下は、予備予選の時のものです。

エチュード予備予選選択数ランキング

サンプル数も異なりますし、そもそもそこまで多くはないので、「ほらねっ!」とドヤ顔で言えるほど顕著な傾向が出るわけではないのですが、明らかに見えるちがいとして、a群で「Op.10-1」を選ぶ人が増えているということです。日本の出場者に限っても、進藤さんも反田さんも角野さんも竹田さんも今井さんも京増さんも10-1。

Op.10-1といえば、先日公開された、今回のコンクールのイメージ動画でも、印象的に使われていましたね。

何をもって「難易度」というかは、特にショパンのエチュードのように、技巧と音楽性の両方が高度に要求される音楽作品においてはナンセンスではありますが、一般に、Op.10-1、Op.10-2、Op.25-6(三度のエチュード)、Op.25-11(木枯らし)などは、技巧的にもクリアすべきハードルが高いと言われています。

「難曲」なのにOp.10-1がなぜ増えるのか。皆さんそれだけ「とっておき」「ここぞというとき」のエチュードとしてOp.10-1を持っていて、満を持してこの本大会に出してきたということだと思われます(あくまでも筆者推測・・)。

たとえば、角野隼斗さん(2018グランプリ)。特級参加時の2次予選、指定のエチュードはOp.10-1でしたし、YouTubeにもアップするなど、長く愛奏しておられることはおなじみです。

予備予選を通過しなければ本大会はない(当然)。でも、あこがれの本大会でこそ、自分が最も弾きこんできた得意のエチュードを弾きたい。答えのない問いですが、出場者の皆さんのそんな選曲プロセスが透けて見えます。

また、Op.10-1が持つ、まっさらな無地のキャンパスに自分の好きな絵を何でも描くことができるような雄大なスケール感は、「さあ、ここから自分のショパンコンクールが始まるぞ」という強い決意をも感じさせます。

10/3から始まる1次予選。16人がそれぞれ思いを込めた「Op.10-1」を手掛かりに、楽しんでみてはいかがでしょうか。

最後に、過去のコンクールから優勝者の「Op.10-1」を2つ貼っておきます。予習用。

◆マルタ・アルゲリッチ(1965年大会1次予選 音源のみ)

◆チョ・ソンジン(2015年大会1次予選、映像)


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