飯田有抄のショパコン日記37〜個性の違いがすごい! エイヴリー&エヴァ
いやはや。3次予選2日目夜の部、日本の奏者はいませんでしたが、激しく濃厚な奏者たちが登場するセッションなので、まったくもって聞き逃せません。
2次のステージで「すごい人たち」とご紹介したガジェヴさんとガルシア・ガルシアさん(彼はどうしてもミドルネームから2回「ガルシア」を言いたい)の激しさは、今回もでした。実は、2次でガジェヴさんの演奏にショックを受けてしまった私は、その次に登場されたアメリカのエイヴリー・ガリアーノさんの音楽が、あまり頭に入ってこなかったんですよね。
ところが、今回はガジェヴさんに対して少し冷静になって聴けたので、ガリアーノさんも集中して聴けました。
同様に、ガルシア・ガルシアさんのあとに弾いたロシア/アルメニアのエヴァ・ゲヴォルギヤンさんも、動揺していない耳で(!)聴けました。
さて、それで気がついたのですが、(あえてファーストネームでいきますよ)エイヴリーとエヴァが好対照であるな、と。
エイヴリーさん、なんとまだ二十歳なんですよね。でも、登場からして、なにかマダム的な風格があり、すごく落ち着きがある。演奏姿も音楽作りも、とても安定していて、「名ピアノ教師」然とした雰囲気があります。精緻に音楽を作り上げながらも、包容力と知性を感じさせるおそるべき二十歳。ぜったい将来いいピアノの先生になる。
一方エヴァさんは、印象的な長い髪を後ろにたばね、黒いドレスも妙に迫力があって、登場からしてキラキラしたカリスマ性を発揮している。なんとまだ17歳! エヴァさんの音楽には何か「超優等生」然とした、パワー系の鍛え抜かれた均整美、ポテンシャルの塊のようなものが感じられました。アーティストとしての気質を備えていそう。
お二人の年齢は3つしか違わないけれど、「名教師&超優等生」の渾身のステージを一気に聴けたような気がして、とても印象深いセッションでした!
写真:©Wojciech Grzedzinski/ Darek Golik (NIFC)
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