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第18回ショパン国際ピアノコンクール特集(ピティナ)

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ピティナ(全日本ピアノ指導者協会)広報部が、2021年にワルシャワで行われた第18回ショパン国際ピアノコンクールをレポートした特集記事のアーカイブです。
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#ショパンコンクール

旅の終わりに(3)~反田恭平さんインタビュー

■今日はお忙しい中ありがとうございます。コンクールの後、少しヨーロッパをまわって、お帰りになったばかりですね? 反田:はい。イスラエルから帰国してきました。 ■今日(※インタビュー日)は11月18日ですから、ちょうど、ファイナルでコンチェルトを弾いてから1か月にあたりますね。 反田:いや~、そうなんです。ちょうど1か月、感慨深いな~って。 ■この1か月、怒涛の日々だったと思いますが、いかがでしたか? 反田:2か月くらい前にポーランドに行き、そこからファイナルまでの1

旅の終わりに(2)~進藤実優さんインタビュー

「ショパンコンクール」から1か月。ピアニストたちは何を感じ、そしてどこへ向かおうとしているのか。第2回は、進藤実優さん(2021特級銀賞・聴衆賞)です。モスクワ音楽院附属中央音楽学校を卒業し、来春からドイツのハノーファー音楽演劇大学で学ぶことが決まっている進藤さん。コンクールをどのような経験と捉え、作品との対峙をどう感じているか、たっぷりと伺いました。インタビューのダイジェスト映像とともに、本文はテキストでお届けします。 ■ショパンコンクール出場、大変お疲れさまでした。その

旅の終わりに(1)~角野隼斗さんインタビュー

「ショパンコンクール」という熱狂から1か月。ピアニストたちは何を感じ、そしてどこへ向かおうとしているのか。長い長い旅を終えた物語の主人公たちに、じっくりとお話を伺います。 第1回は、角野隼斗さん(2018特級グランプリ)。ショパンコンクールに、新しい音楽の在り方、楽しみ方のポテンシャルをもたらし、見事に3次予選まで進出した彼に、2019年秋、コンクールの申込や応募映像準備から関わったピティナ育英・広報室長の加藤哲礼がインタビューしました。リラックスした雰囲気を伝える少しのイン

note×ピティナ ♪ 角野隼斗さんトークイベント開催!

こんにちは。「ショパコン日記」を担当していた飯田有抄です。コンクールが終わって、早1ヶ月近くが経とうとしています。あっという間! そんな中、ショパンコンクールのピティナチーム情報発信のプラットフォームである、こちらの「note」さんと夢のようなコラボレーション企画が開催されました。角野隼斗さんとのトークイベントです! 今、配信されてから5時間ほどが経過したところですが、すでに1万8千回ほど試聴していただいております。ありがとうございます! 1時間ほどの配信番組でしたが、

審査員の採点が公開されました~2021ショパンコンクール

10月23日にすべての日程を終えた第18回ショパン国際ピアノコンクールの、1次予選・2次予選・3次予選の採点表が公開されました。 ◆公式サイト 最終投票(本選終了後)のプロセスについても、説明がなされています。(最終投票の経過の表が見当たらないように見えますが、筆者の確認不足かもしれません。引き続き調査します。1次~3次のスコアシートがPDFで公開されています) 審査方法はこちらの2つの記事にまとめています。

飯田有抄のショパコン日記〜エピローグ:音楽で世界を元気で平和にするために

第18回のショパン国際コンクールが幕を閉じてから、早くも1週間が経ちました。結果発表日以降は、この日記を読んでくださっている方はもうほとんどいないかもしれません。けれど、3日前に帰国して、まだポーランド時間(=時差ボケ)で過ごしている私が、深夜にこっそり書きたくなったことを、この日記のエピローグとして、そっと置いておこうと思いました(その割に長文御免!)。 「伝統ある○○」といったとき、私たちはつい、その○○が長年変わることなく、ずっと古き良き形で残されてきた、とイメー

第4位クシュリックさん&入選エヴァさんのインタビュー公開!~2021ショパンコンクール

最終結果発表翌日の記者取材会、すでに公開したピアニストたちのほかに、もう2人、お話を伺うことができました。 第4位に入賞したヤクブ・クシュリックさん。もういかにも「気は優しくて、力持ち」そのまま(あくまで想像)という感じの方ですが、飯田有抄さんも彼の「あったかい音」を絶賛していました。「3次予選に残ることが目標だった」と謙虚に語る彼の人柄にも魅了されるインタビューです。 もう一人、お話を伺うことができたのは、ファイナリスト17歳トリオのひとり、ロシア/アルメニアのエヴァ・

鼎談:反田恭平さん・小林愛実さん・宮島昭夫大使、ロングトーク全文~2021ショパンコンクール

結果発表後、入賞者ガラコンサート第三夜が行われる10月23日(土)の昼間、入賞した反田恭平さん・小林愛実さんが、在ポーランド日本国大使公邸にて、宮島昭夫・駐ポーランド特命全権大使に今回のコンクールの入賞を報告しました。宮島大使ご自身も今回のコンクールに注目し、熱心に聞いていたこともあり、大使がまるでインタビュアーであるかのような充実の鼎談となりました。いち早く日本の皆様にこの会談の模様をお届けしたいと、飯田有抄さんが渾身の編集。7000字余り、少し長いのですが、充実のトークを

入賞者ガラ第三夜、感動的に終演~2021ショパンコンクール

現地時間の10月23日(土)夜、ショパンコンクールの長い日程を締めくくる入賞者ガラコンサート第三夜が行われ、10月2日のオープニングコンサートから始まった約3週間の祭典は無事に幕を閉じました。 ◆入賞者ガラコンサート第三夜の配信アーカイブ 第6位のJ J Jun Li Buiさん、第5位のLeonora Armelliniさん、第2位のAlexander Gadjievさんが、第二夜までとは異なる曲を演奏。反田恭平さんは、マズルカ風ロンドに加えて、思い入れたっぷりの「ラル

第2位アレクサンダー・ガジェヴさんインタビュー到着!~2021ショパンコンクール

反田恭平さんとともに第2位に入賞した、イタリア/スロヴェニアのアレクサンダー・ガジェヴさんのインタビューを公開します。すでに浜松やシドニーなどの大コンクールで優勝している実力者ですが、自らの芸術的信念を貫きながら「音という現象を使って何ができるか」を極限まで追求していくスタンスは感動的でした。 記者取材会でのインタビューが入ってきましたので、お届けします。非常に示唆に富んだ、ガジェヴさんらしいお話で、必見です。 ◆ソナタ賞を受賞した第2番を含む3次予選の演奏を改めて 飯

第3位ガルシア・ガルシアさんインタビュー&写真特集~2021ショパンコンクール

今回のショパンコンクールの大きな話題となった、スペインのマルティン・ガルシア・ガルシアさん。終始、音楽する喜びをいっぱいに表しながら、前向きでオープンなショパン像を提示し、見事に第3位に入賞されました。 記者取材会でのインタビューが入ってきましたので、お届けします。 1次予選からの写真を改めて整理すると、楽屋での演奏前のガルシアさんは、驚くほどシリアスな表情ばかりを浮かべていることが見えてきました。ステージに1歩踏み出す瞬間、意識的に、「音楽で幸せを共有する」ためのスイッ

(番外編)ついついまとめてしまうアルメリーニさん特選写真~2021ショパンコンクール

2010年の前々回大会以来の参加となったイタリアのレオノーラ・アルメリーニさん。見事に第5位に入賞されました。 演奏前後にも、終演後のインタビューでも、いつもニコニコ、明るくてチャーミングな魅力を振りまくその姿に、われわれスタッフの中ではいつのまにか「アルメリーニ姐さん」⇒「姐さん」と呼ばれていたことは秘密です。 そんなアルメリーニ姐さんの魅力爆発の写真を、ついつい集めてまとめてしまいました。連日連夜、睡眠不足で見守った皆様に、癒しと元気をお届けします。 以下、一部、脚

入賞者ガラ第二夜、そして特別賞の発表~2021ショパンコンクール

(ヘッダ画像は浜松市長賞を代理授与する駐ポーランド日本大使宮島昭夫氏) 現地10/22(金)の晩には、入賞者ガラコンサートの第二夜。昨日のナショナル・オペラから、ふたたびワルシャワ・フィルハーモニーに会場を移しました。設営などの関係で、昨日の第一夜では、優勝者が選択したファツィオリのピアノをすべてのピアニストが演奏しましたが、第二夜ではそれぞれのピアノを演奏したようです。 コンサートの模様は、YouTubeでも配信されました。 プログラムは、第一夜と同様だったようです。

飯田有抄のショパコン日記53〜反田恭平さんが師事するパレチニ先生、そして入賞者のタフネスについて

反田さんの2位が発表された翌日のタイミングで、今回のコンクールの審査員であり、また反田さんがワルシャワの音楽院で師事しているピオトル・パレチニ先生と会話する機会を得ました。 (ちなみに、審査員は、自分の生徒に点を入れることはできません) 今回の反田さんの演奏についてコメントしてくださいました。 「彼は1次予選からずっと、安定した演奏を聴かせてくれました。コンクールで上位入賞するには、やはり各ラウンドで浮き沈みがあってはいけません。すべて安定したパフォーマンスをしないと。