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那須サファリパークに行った話

静岡県育ちの私は、サファリパークといえば富士だ。ほかのサファリパークと名のつく施設はここが初めてだ。

入園後、友人の車でいわゆるマイカー入園をしようとすると、スタッフの方が「マイカーですと動物がお車を壊しますが、大丈夫ですか?」と仰った。え?「汚す」とかじゃなくて?「壊す恐れがある」でもなくて?言い間違いかな?と思った。でも富士ではマイカーでまわるのがふつうなので、いいだろうと思ってそのまま入る。そのとき気づいたが、バスでも4WDでもない普通車を貸し出しているっぽかった。(富士との比較がしつこくてすみませんが、富士ではそれらしいゼブラ柄の4WDを借りて廻ることができる)それがちょっと心に引っかかった。すでに友人の車はゲートをくぐるところだった。

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富士との最大のちがいは、買えばマイカーからでもエサを与えられるところだった。富士では先述の4WDかバスに乗ることでしか給餌はできない。へ〜こういうパークもあるのね、と思いながら最初のゾーンはムフロン。めちゃくちゃ向かってくる。体高が低いので一生懸命首を伸ばして車を覗き込んでくるのがかわいい。エサ効果すごいね!!!!と笑っていた。私たちはエサ買わなかったのでごめんねと思いながら通り過ぎる。

次はライオンのゾーンで、ここだけは絶対に窓を開けてはならないと言われていた。はい。せっかく広いのだが隅っこに集まっていてあまり見られない。

次からの、ラクダ、エランド、ロバ、シカなど大型草食獣は先程のムフロンのようにすべてと言っていいほど車に突進してくる。体がデカいので窓が少し開いた部分にむりやり顔をさしこんでくる。エサを持ってないので草食獣たちも怒る。エサ持ってんだろ〜出しなよ〜オラオラという言葉が聞こえてくる。また、ここで止まればこいつらは動けない、という車のことをよくわかっていたように思う。意図的な通せんぼもめちゃくちゃされた。動けないでいる間に別のロバが運転席の窓の上についてるひさし?雨除け?をバリバリ剥がし始めた時は背筋が震える思いがした。草食獣をこんなに恐ろしいと思ったことはなかった。富士にもいる種類ばかりだが、富士獣たちは車のことなんかただの塊としか思ってないなと思う。那須獣は巣箱がきたぞという感じだ。「エサがもらえるかもしれない」があるのとないのとでこんなに向き合い方が違うのかと驚愕した。ここが悪いんじゃないけど、野生動物にエサをあげてはいけない問題に少し思いを馳せてしまった。

阿鼻叫喚のなかコースを廻り終えた。車のひさしは元に戻せてよかった。スタッフさんの「壊します」という言葉が思い出された。壊しますな…そら普通車も貸しますな…。

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夜の部

一旦退園して、外で夕ご飯を食べて、懲りない私たちは戻ってきた。幸いにも週に一度のナイトサファリがある日だった。きのうもきょうも友人が運転してばかりなので、今度は私が運転を替わることにした。明日の帰路も運転したいし、練習としてのサファリゾーン。さっきの感じだとかなり怖いが、いきなり公道に出るよりマシと思った。思ったのだ…。

ムフロンやライオンはさっきより寝るモードになっていた。問題は次のデカい獣です。夜はエサを売り出していないシステムをわかってるのか、さっきよりも突進してくる獣が少なく感じた。助かった。と思ったのもほんの数分で、やはりもらえるかもしれないと思う獣もいて、シカやロバは容赦無く車を取り囲んでくる。

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富士とちがってコース内で停まるのは禁止だ。進まなければいけないのと、動物に絶対に当たりたくないことのプレッシャーで押しつぶされそうになる。シカ数頭が前から絶対に動かないという布陣になったときは、もう完全にダメだと思った。ロバが車のドアハンドルをいじり始め、ガチャガチャガチャガチャと大きな音を立てた。マジでホラー映画だった。泣きそうだった。友人が「ちょっとくらい当てても大丈夫だから!進んで!」と叫んだのを覚えている。ふつうならありえなさすぎる言葉なんだけど、それくらいヤバい状態だったのを想像してほしいと思い書きました。帰路では生まれて初めて首都高を運転したけど、今思い出しても間違いなくシカとロバに囲まれた数分がいちばん怖かった。数秒かもしれないな。

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嬉しかったのが、那須どうぶつ王国では見られなかったビントロング。サファリゾーン外にいた。明るいうちは映り込みがひどくてろくに見ることができなかったが、暗くなってからよく見えたし、動きも活発になっていてよかった。ありがとうビントロング。

心に大きな傷を残した那須サファリ。ストロベリータイガーが見たかったけど、見られなくて残念だったのでまた行くかもしれない。そのときはぜひ車を借りたい。

全国のほかのサファリパーク事情が俄然気になってきた。

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