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香港紀行

お久しぶりです。コラムニストのじゅんです。

ゴールデンウィークに香港に行ってきました。6年ぶりの中国で初香港ということで少し感じたことについて記録したいと思います。

午後のヴィクトリアハーバー。100年以上の間、香港島と九龍半島をゆらりと往復してきたスターフェリーに乗って、香港島側にある中環金融街を覗いた一枚。

香港人は日本大好き

街中を歩き回ると、日本料理の看板がよく目に付く。焼肉から寿司、お好み焼きなど種類もたくさんあって、日本にあるチェーン店も見られた(日本料理ではないが、サイゼリアも結構あった)。セブンイレブンは至るところにあり、商品は日本輸入であることを全面的に打ち出していた。ドラッグストアやスーパーに日本製品が多く置いてあり、特に日用品や化粧品、市販薬、お菓子が多かった。さらに、滞在中に何回か見た「日本スーパー」のような店舗があり、中には日本製品しか置いていないようだった。

今回の旅行では日本に留学に来ていた香港出身の友人と再会した。日本のGWの時期には中国も労働節の休暇があったが、彼女から「あなたは香港来てるけど、香港人は今みんな日本に旅行しているよ」と冗談半分に教えてもらった。

とある現地のスーパーで友人が撮った猫。右下にサロンパスやムヒが置いてある。

包容力の高い国際都市

ヴィクトリアハーバーを眺めながら、香港の歴史についてもっと知りたいと思い、香港歴史博物館を訪れた。小さな漁村から国際的な金融都市に転身した香港は、イギリス領であったこと、中国本土からの移民、フィリピンからの家事労働者が多いことで知られていた。一方で、あまり知られていないが原住民は異なる時期に中国各地から香港に移動してきた民族によって構成され、言語や生活習慣、婚姻の慣習や宗教がそれぞれあったらしい。こういった背景もあるのか、イギリスによる占領後も外から来たものを抵抗せずに学びながら発展をしてきた印象がある。

香港の発展の原動力には中国本土から移民があったと言われているが、国共内戦以降の中国から大量の不法入境者に、香港政府はある境界まで辿り着けば合法的な滞在資格がもらえるという寛容な政策をとった。この時の難民の受け入れは政府にとって管理面での負担があった一方で、長い目で見れば利益になるようだ。

ちなみに、香港人は排他的で、特に中国大陸からの新移民・観光客に偏見があると言われているが、今回の旅行で友人と標準語で会話している時も特にそういったことは感じられずむしろ親切にしてもらうことの方が多かった。しかし、実際のところは観光旅行からでは判明できないはずだ。

バス停で見かけた広告。政府が性的指向の異なる人やトランスジェンダーへ差別をしないように訴えるものだった。

独立書店巡り

今回の旅行で印象に残ったのは書店巡りだった。香港出身の友人に「選書のセンスが良い」と勧められた独立書店という個人経営の書店をいくつか回った。特に最初に訪れた書店は、社会学や人文学などの本・雑誌が置いてあり、読むのが楽しかった。フェミニズムコーナーがあったり、中国大陸ではおそらく禁止されている本が古本コーナーに置いてあったりした。その後訪れた二つの書店は日本でいうと蔦屋書店の雰囲気で、カフェが併設され作業スペースのある場所だった。ここでも日本書籍の翻訳書が多く置いてあり、小説やビジネス書、自己啓発系のジャンルに多かった。本屋を巡るとその場所のトレンドや関心事がわかるため、とてもいい経験だった。

購入した2冊の雑誌。一つは1980年代の香港をノスタルジックに振り返った特集と、もう一つは「沈黙」と題し2020年の反政府デモ以降の香港での生活について市民に匿名インタビュー行った特集だ。

中国大陸とは一味違った香港

今回は初めて香港で、中国大陸と一味違ったところがあって新鮮だった。着いた時は高層ビルの景観とレベル違いの湿度の高さに圧倒された。街中を散策していると香港の映画で見るような風景が広がっていた。歴史が残っている街並みなので、日常的に歴史や文化を肌で感じる。そういうところは大陸では珍しいように感じる。さらに、街中で日本好きが大々的に伝わるところは大陸ではあまりないかなーと思いつつ、性的少数者へ差別しないように呼びかける看板には感激のあまりか思わず写真を撮ってしまった。大陸で見慣れた景色や当たり前に捉えていたことに、香港は新たな可能性を身近に提示してくれた。


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