人工股関節全置換術(THA)後のケーススタディ:トレンデレンブルグ徴候を伴う症例
1. 患者情報
年齢:65歳
性別:女性
診断名:右変形性股関節症
手術:右人工股関節全置換術(THA)
2. 現病歴
患者は5年前から右股関節痛を自覚し、徐々に増悪。保存療法で対応していたが、日常生活動作に支障をきたすようになり、2ヶ月前に当院整形外科を受診。レントゲン検査で右変形性股関節症と診断され、1週間前に右THAを施行した。
3. 既往歴
高血圧症(内服加療中)
骨粗鬆症(内服加療中)
4. 社会背景
職業:専業主婦(夫と二人暮らし)
趣味:ガーデニング、週1回の社交ダンス(現在は中断)
自宅:2階建て一戸建て(寝室は2階)
5. 理学療法評価(術後7日目)
疼痛評価
安静時:NRS 1/10
動作時:NRS 4/10(特に歩行時)
関節可動域検査(右/左)
股関節屈曲:80°/120°
股関節伸展:5°/15°
股関節外転:20°/40°
股関節内転:10°/20°
股関節外旋:20°/35°
股関節内旋:15°/30°
徒手筋力検査(右/左)
股関節屈曲:3/5
股関節伸展:2+/4
股関節外転:2/4
股関節内転:3/4
股関節外旋:3/4
股関節内旋:3/4
その他の関連する評価
浮腫:右大腿周径(膝蓋骨上縁10cm)左右差 +2cm
歩行能力:歩行器使用にて10m可能、トレンデレンブルグ徴候あり
バランス:片脚立位保持 右0秒、左10秒
日常生活動作(FIM)
運動項目:56/91点
認知項目:35/35点
合計:91/126点
詳細な動作分析
歩行分析(歩行器使用時):
立脚期:右立脚中期で骨盤の右側方への傾斜(トレンデレンブルグ徴候)が顕著
遊脚期:右遊脚期での股関節屈曲が不十分で、代償的に体幹前傾がみられる
6. 問題点
インペアメントレベル
右股関節周囲筋の筋力低下(特に外転筋群)
右股関節の関節可動域制限
術創部周囲の浮腫
動作時痛
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