見出し画像

PTAとはなんぞや?

PTA改革を進める上で肝心なことがある。
それは「PTA」を知ることである。
当たり前のようだが、この当たり前をわかっていない人が意外と多い。
今回はPTAを簡単に紐解きしながら、ポイント制ができた経緯とPTAの法的位置付けについて書き進めていく。
各論的な内容なので硬い話になるが、読んでいただけたら幸いだ。

PTAの成り立ち

みなさんは日本における「PTA」がいつからあるものかご存じだろうか。
実は歴史は浅く、戦後に始まる。
戦前の日本にはPTAのようなもの(父母と先生の会)があったが、今のPTAとは性質が異なる。
第二次世界大戦で敗戦した日本はGHQによって統治された。
そのときに教育改革の一環としてGHQは学校に「PTA」を根付かせようとした。
その最大の理由としては、帝国主義だった日本を民主主義に変えるためであった。
この「民主主義」というのが、PTAの根幹となる。
私はこの根幹を元に、改革を進めることにした。

「PTA」というのは1897年にアメリカでできたものである。
日本のPTAは元々GHQが主導して作り、当時の文部省が全国の学校に推奨した。
1952年に結成され、1954年に「参考規約」を発行した。
この「参考規約」は、あくまで「参考」であり、すべての学校が従わなければならないものではない。
むしろそのことを一番最初にこのように書いている。

この規約は、日本のPTA活動を、より実情に即したものとし、今までの「与えられた規約」から「自らつくり、自ら実行の責を負う」規約たらしめPTA会員の規約に対する関心と責任を深める契機となるような意図で作成されたが、今後単位PTAが規約を改正する場合、一参考資料として活用していただけば幸いである。

文部省 昭和二十九年三月

詳しく知りたい方は下のリンク先で確認されたし。

小学校「父母と先生の会」(PTA)第二次参考規約 昭和29年2月4日 文部省父母と先生の会分科審議会

ご覧いただければわかると思うが、ほとんどの学校の会則はこの参考規約が元になっている。

なぜポイント制ができたのか

我々の小学校のPTAには「ポイント制」というものがあった。
PTA活動を「平等」に役員をするための制度である。
これに似た制度が各地にある。
なぜこのポイント制などの義務制度ができたのだろうか。
その答えが上に添付した参考規約の中にある。
参考規約第4章第8条に「会員は、すべて平等の義務と権利とを有する」と書かれている。
この表現が非常に曖昧である。
平等の義務と権利とは何ぞや?
ボランティア(任意)が大前提であるPTAなのに「義務」という言葉が書かれている。
この言葉が一人歩きして今日のPTA義務制度ができたと考えられる。
しかし、上述したようにこの参考規約はあくまで「参考」なので、絶対に守る必要はまったくない。
堅苦しい話が続くが、これらの説明なしに今後のPTA改革は語れないので書き進めていく。

PTAの法的位置付け

PTAの法的位置付けはどうなっているのだろうか。
実はPTAの結成・加入を義務付ける法律の規定は存在しない。
日本国憲法第21条において、国民は誰しも自由に結社をすることが保障されている。
このため、国民は誰でも希望すれば、「任意加入の団体」としてのPTAを結成・解散および参加・脱退することができる。
さらに同条により、PTAはPTA連合体に加盟・脱退することができる。
実はPTAの参加・脱退は憲法によって守られているものなのだ。

それぞれのPTAにはそれぞれの会則がある。
その会則がいかほどの効力を持っているのかご存じだろうか。
実は法的拘束力はまったくない。
「0」である。
参考までに「法令の階層構造」を紹介する。

憲法―法律―政令―省令―告示等 <国が定める法令>
条例―規則等 <地方公共団体が定める法令>

この法令の階層構造を見ても「会則」というものは存在しない。
ということはポイント制などの「義務制度」は、無視してもよい制度なのだ。
実際、我々の小学校の会則にもポイント制については一言も書かれていなかった。
子どもが入学してすぐに配られる書類にポイント制のことが書かれていたが、あれはただの「お願い」程度のものなのだ。
しかし、そうは問屋が卸さないのが実情だ。
誰しもが嫌な役員を誰かがしないとPTAは成り立たない。
春の恒例行事である役員決めの際、出席しなければ役員にならなくてよいことは誰しもがわかっている。
または適当な嘘をついて役員にならない人もいたりする(もちろん正当な理由によってなれない人もいる)。
しかし、そのような人はごく少数であり、ほとんどの人はポイント制などの義務制度に素直に従っているのが現状である。

これがPTA創設の大まかな話だ。
次の記事では昨今のPTA改革が叫ばれるようになった理由について書いていく。
これらのことを紐解くことで、私の為すべきことが明確になっていった。
次の記事も硬い話になるが、ぜひご覧いただけると幸いである。

いつも応援ありがとうございます!ブログを続ける励みになっています。もし内容がお役に立てば、サポートを検討していただけると嬉しいです。