大脳基底核のネットワークについて
大脳基底核とは「線条体」「黒質」「視床下核」「淡蒼球」から成り立ちます。
ここでは、大脳基底核にはどのような働きがあるのか。
他のところとの連携はどのようになっているのか。
について主に解説していきます。
この記事を読むことのメリット
・大脳基底核の働きを把握しておくことで、患者様の行動がわかるようになる。
・リハビリの内容をうまく組み立てることができる。
・リハビリがより一層楽しくなる。
大脳基底核の機能とは
大脳基底核の主な機能としては、意思・意欲・関心・本能・欲望に基づく「随意運動」の遂行です。
大脳基底核が損傷を受けたらどのような症状が出る?
では、大脳基底核が損傷を受けた場合、どのような症状が出るのでしょうか。
・筋緊張異常
・姿勢異常
・不随意運動
・歩行障害
・認知機能障害
これらの症状が主に出現します。
では、なぜこのような症状が出てしまうのでしょうか。
それは、大脳基底核の基本回路をすることで理解を深めることができます。
大脳基底核の基本回路とは
大脳基底核の基本回路には
①運動ループ
②眼球運動ループ
③前頭前野ループ
④辺縁系ループ
これら4つのループが存在していると言われています。
これらのループは、大脳基底核から様々なところへと連携しているため
どこか1つが障害されてしまうと症状が出てしまうのです。
では、1つ1つのループを解説していきます。
①運動ループとは
体性感覚野→被殻→淡蒼球内節・黒質網様部→視床(前腹側核、外側腹側核)→一次運動野・運動前野・補足運動野
このループを形成しています。
主にこのループでは、顔面・四肢および体幹の筋群を制御する働きがあります。
そのため、このループのどこかが損傷を受けることで
顔面・体幹・四肢の筋群の制御が困難となります。
②眼球運動ループとは
頭頂葉後部線維・前頭前野→尾状核体→淡蒼球内節・黒質網様部→視床(前腹側核、背内側核)→前頭前野・補足眼野
このループを形成しています。
このループでは、主に衝動性眼球運動(サッケード)を制御する働きがあります。
衝動性眼球運動(サッケード)とは、物体を見る時の素早い眼球運動のことです。
例として上げるのであれば、電車に乗っている時に、流れていく景色を目で追って認識する能力のことです。
ですから、このループが損傷することで、視覚によるバランス反応の欠落が見られるようになります。
③前頭前野ループ
頭頂葉後部皮質・側頭連合野→尾状核頭→淡蒼球内節・黒質網様部→視床(前腹側核、外側腹側核)→運動前野・前頭前野
このループを形成します。
このループでは、主に認知と実行に関与する働きがあります。
前頭前野の働きは、思考・推論や目標に対する行動に関与します。
また、運動前野は動作を組み立てる働きがあります。
そのため、このループが損傷を受けると、動作を行うための順序立てや、それを考えるための思考が欠落してしまいます。
④辺縁系ループ
側頭連合野・海馬体→腹側線状体→腹側淡蒼球・淡蒼球内節・黒質網様部→視床(前腹側核、外側腹側核)→帯状回前部・前頭葉眼窩皮質
このループを形成します。
このループの主な役割は、行動の動機付けや情動に関わります。
このループの損傷により、統合失調症などの精神疾患、薬物中毒が発生することがあります。
まとめ
このように、大脳基底核が損傷を受けることで、様々な症状が出ることがわかったと思います。
また、4つのループがありそれのどこかが損傷を受けることで、症状が出ることも把握できたと思います。
これらの情報をもとに、損傷している経路から感覚入力を行うことで、そこの神経回路の賦活を促すことができ、機能回復を目指すことができます。
「なぜ」がわかることで、リハビリプログラムを立てやすくなるので、小脳や、視床の機能も押さえておくことで、より根拠のあるリハビリを提供していきましょう。
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