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透かして見てみろ

空はすっかり秋だ。夏はどこへ行ったの。いや、毎年こうして季節は移っていく。

時が過ぎていくと思う。今の私からあの日の私を引き算したら、何が出てくるんだろうと。何を得たのか。逆にあの日の私から今の私を引き算したら?何を失った?時間は過ぎていくものだ。戻すのは自分の記憶の中だけ。

立ち止まると思う。あの人は空から見てくれているのか。見透かしているのか。神様のみぞ知るとは言うけど、神様だって知るべきこと知らなくていいこと、選ぶだろう。知るのは自分の感覚の中だけ。

結局何かに問いかけても、答えなんてこの小さな箱の中にしかない。喜んだかと思えばすぐ悲しくもなるこの箱の中だ。箱は季節と同じに進んでいく。進んで進んで引き算しないまま進んで、何を得て何を失ったか気付かぬままに進みすぎるのはいやだな、と思いながら秋の空を眺めている。

羨ましいほど変化して美しいな、秋の空。




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