役割

映画「真実」を観に行った。

https://gaga.ne.jp/shinjitsu/

是枝監督の作品は家族をテーマにしてきたものが多くて、日常のちょっとした会話の中に家族同士の関係が絶妙に描かれていると思う。役者の表情だったり、何気ない一言が、心に染みる。どんなに有名な役者さんでも、作品にでているうちは、平凡な日常を丁寧に送っている「ある人」になっていて、そういうところも好き。

今回の作品は、フランスで、フランスの役者さんと撮られたものだから、どうな感じなのかなーと興味を持って観に行った。

私個人の印象としては、ある人とある人の会話とか家族同士の関係性とか、そういった内容のことよりも、役者さん個々人が印象に残る作品だった。特に主演のカトリーヌ・ドヌーヴさんは主役感がすごかった。そこに立っているだけで「私は主役よ」と言っているような雰囲気を醸し出していた。有名な役者が有名な役者役として出ているから当然なのか。

…いや、娘役の人以外は、みんな主役感がすごかった。個が強くて、父親とか、母親とか、子供とか、そういう家族役割を忘れさせるような感じだった。

「個」が強い、そういう家族の形なのかもしれない。ただ、観ているうちに、そういう家族の形があっても、やっぱり役割からは逃れられないんだなーというか、役割を意識するんだなー思った。完全に誰か一人だけが主役でい続けることはできない。だからといって、役割だけがその人のすべてではない。最後のほうまで娘という役割に徹していた娘役の人は、最後の最後で主役っぽくキラッと光った気がした。

#真実 #是枝裕和 #映画


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