輪廻転生 ③ 幽女(女の幽霊)の願い

 ・幽女(女の幽霊)の願い

(旅を始めてもう二年。
郷里の皆はどうしているだろうか?)
いつものように街の風景を見ながら、足の向くまま気の向くままに歩いていた。
『影鷹殿、如何致した?』
『なに、郷里の皆はどうしているだろうと思っただけです』
『左様でしたか』
いつものように傍に寄り添うかのように、つかず離れずの距離を保ちながら歩く稲荷に言った。
「さて、今日はどこで宿を取ることにしましょうかな?」
『ご随意になさると良い』
『おや?今日は珍しく何も言われないのですな?』
『御身様との付き合いもそろそろ長い。
付き合い方というものをわきまえてきたと思っていただきたい』
『随分なお言葉ですな』
お互い揶揄(からか)うように言った。

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