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物撮。

*ここへ書き始めて、気が付いたらたくさんの人に読んでいただいているようで、ホントにびっくりしてます。ボケ防止になればいいかなと軽い気持ちで始めましたが、嬉しいことです、ありがとうございます。

 ここ10年あまりで結構変わったな、と思うのが、依頼する側の写真に対する見方。いや、撮影する側もか。例えば、こんな事があった。
 エコバッグのような、簡易なカバン。取っ手もヒモのような感じで、もちろん自立はしない。これをいつものように、取っ手には見えない位置へ細いアルミワイヤーを仕込み、本体には厚紙と丸めた紙などで膨らみを付けて使用時の形状と色、デザインがわかるように「立てて」撮影した。しばらくして、担当者から再撮影の依頼。理由を聞くと、そんな風には取っ手も本体も立たないので、床に広げて置いて撮って欲しいと。買った人から自立しないじゃないかというクレームが来ないようにという事なのか、分からなくもないが、、、いや、やっぱりわからない。再撮影には応じたが、取っ手にはワイヤーを仕込んだまま、床から3センチほど浮かして影を付けて撮影した。
 次。販売店オリジナルの商品で、商品自体は大手メーカーのものだけど、オリジナルの意匠を施して商品化したもの。この撮影を頼まれた。もちろん、普通の商品撮影のつもりで奇麗に撮影して、納品。そしたら、商品開発を担当した人から、奇麗すぎて嘘っぽい、これではメーカーのカタログ写真みたいで嫌だ、という、良くわからない理解できない反応が返って来たそうな。ちなみにその人が良いというのは、自分で撮ったと思しき、蛍光灯が映り込み、カメラを持つ自分の影も映っている、スマホで撮りました、という写真だった。このほうがリアリティがあって、嘘っぽくない、見た人が安心する、という。愕然としました、はい。ま、けっきょくそのまま私の撮った写真が、ホームページには使われていましたが、なんかすっきりしない結末。
 もう一つ。地方にある知り合いの商店。新規事業で輸入した商品の撮影を、趣味を通じて知り合った地元のカメラマンに2万くらいかな、と言われたので撮影してもらったら、8点ほど撮影して、2万x8点の16万の請求が来た、という。全部で2万と思っていたので、驚いて泣いて頼んでなんとか半値くらいにしてもらった、という話を人づてに聞いた。で、値段はともかく、その写真を見せてもらってびっくり。自然光で、窓枠がはっきり見えるほどの映り込みのまま、反対からストロボで起こしているから、自然光の部分は青くかぶっている。一応バック紙はひいているが、後ろの切れ目がぼんやりと写っているし、グラデも均一ではない。4,5点の集合などは、左右で明るさが違い、ワイドで撮っているのか歪んでいるし、奥のほうはピントも怪しい。これには驚愕した。聞けば、地方都市で古くから営業写真館を経営している三代目若手社長。とってもやり手で、写真だけど芸術系の大学卒らしい。これが今トレンドでまっとうな料金だ、と力説されたそうだ。これは、私の中ではカタログ写真としてはあり得ない。先に書いたNG部分を上げて説明。モノは違うけど同業他社で私が撮影した写真を見せて、うちじゃこれで値段はこのくらいだよ、って話したら、いい勉強になったわ、高くついたけど、と。あまり同業者の事を悪く言うのは気が引けるが、仕方ないかな。

と、ま、言う事でますますわからなくなっていくのです。


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