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色温度。

今はAWB、オートにして撮れば屋外の風景とか、単一照明なところでは十分性能を発揮してくれますが、ダメなことも多いです。小耳に挟んだ話ですが、あまり気にしていないのか、おかしな色味のまま納品って方もいるようですね。白いテーブルなのに撮影したらグリーンやアンバーに被ってる、ってのは、AWBがストロボやお日様マークになったまま電球や蛍光灯下で撮影してるんでしょう。これも後処理で治せるのに、そのまま。かぶるのを嫌ってストロボ一発、は良いけれど回りきらないところは変な色のまま、とか。
そもそも、な話ですが、印刷に使うポジフィルムは、光源でフィルムを使い分けていたんです。昼間の外や、ストロボなんかではデーライト用、昼間の太陽の色温度に調整されたフィルム(5500K)。それと、タングステン、いわゆる電球の黄色に合わせたフィルム(3200Kくらいだったかな)。それぞれ設定された色温度に会うように、フィルターで色温度を上げたり下げたり補正して合わせてやる必要がありました。厄介なのが、蛍光灯。(もっと厄介なのが店舗とかの外光に蛍光灯に電球等のミックスなんですが、これはまたそのうち。)こいつが光源だと、その光の特性に合わせて、かなり濃いマゼンタ色のセロファンみたいなフィルターをレンズに被せて撮影しなければなりませんでした。色温度を下げるアンバー系、上げる青系のフィルター、色の濃いのから薄いのまで10枚づつくらいと、蛍光灯用のマゼンタとか予備も合わせて3~40枚バッグに入ってました。蛍光灯も三波長や昼光色など種類で変わるし、さらには電球色の蛍光灯や電球型の蛍光灯が出現しだして、当然肉眼では判別しにくくなり、カラーメーターってのを使って測定しないと、後が大変でした。今は蛍光灯がLEDに入れ替わってとても楽になりましたね。
実はそれだけじゃなくて、コダックのフィルム、定番のエクタ、EPRは乳剤によって、しかも現像所毎に補正値が違い、乳番ごとにこのフィルムは実効感度iso40、05M補正、とかの情報付きでした。もちろん、これも照明機材がスタジオごとに違うので、テスト撮影して、感度と補正するフィルターを決めて、なんてみんなとても手間なことをしてました。
ということで、スタジオで使うストロボはおおよそ5000°Kから6000°Kに設定されてまして、撮影の時は、オートを外して、5500K前後(機種によってはストロボマーク)で撮影します。それでも、ストロボ光もトレペ一枚を間に入れるだけで2、300度くらいは下がるし、焼けた古いアンブレラも同様。ストロボの発光管も経年劣化でどんどん黄色くなります。対してクリップオンは高め、確か6500K前後だったはず。壁やら傘、レフ板へのバウンドなど、直射で使うことはほぼないので、どっちみちまともな色は出ませんから触ること前提です。
自分ちのはテストして設定を決めてますが、ロケだと条件がころころ変わるので、カラーチャートや蛍光剤の入ってない白い紙やグレーの紙(いわゆる標準反射板)を一緒に写しておくとあとがずいぶん楽ですよ。
*写真の器具はそのフィルターをレンズに取り付けるためのホルダーです。

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