月経のはなし 武谷雄二
中学生のとき、保健体育のテストの点数が良いと「変態」とか「やらしい」とか揶揄される雰囲気はありませんでした?
僕は、全教科の点数が良かったので、もれなく保健体育のペーパーテストも高得点でした。だから何かを言われた記憶もないのですが、何となく他の教科と比べて良い点数であることの「後ろめたさ」みたいなものがあったがあったような気がします。
中学か、あるいは高校の時に、男女の身体についても教科書的な知識を一応習ったはず。だけど、女性の「生理」について知っていることを聞かれても、ほとんど何も答えられないことに最近気づいたのでした。
「月経のはなし-歴史・行動・メカニズム(中公新書)」では、産婦人科のお医者さんが月経の生理的な仕組みから、月経が歴史的にどのように扱われてきたかまでを丁寧に説明しています。
様々な国、文化において、月経がどのようなものとして受け止められてきたか、という歴史の話が面白かったのはもちろん、何の知識もない僕にとっては、月経の仕組みの基本の「き」から解説してくれるのが大変ありがたかったです。
お医者さんが書いたので、ホルモンや身体器官の名前がたくさん並ぶところは読みにくさがあったけど、そこをさらっと流してもざっくり女性の一ヶ月のサイクルをつかむことができました。
当たり前だけれど、身体の話なので、人によって大きく感じ方が違う。生理痛の重い軽い、生理に対する考え方、気分や体調のリズムなど、全部人それぞれ。
男性である僕が、周りの人間の月経事情を聞くのも変な話だし、そこまで知る必要はない。でも、一緒に暮らすパートナーの身体や気分がどんな感じかぐらいは知りたいなあと思う。
そう思って、この本を「だし」にそういう話をパートナーともしました。変に真面目な僕の質問に答えてくれてありがたい限りです。
話していくうちに、そういえば逆に女性は男性の身体のことを知らないし、知る機会もないことが分かってきました。改まって聞くのもバカらしいし、少し恥ずかしいような質問・疑問がお互いにたくさんあるのでした。
本を読んで、一般的な身体について知ることも面白いけれど、そこからさらに一歩踏み出して、目の前の人と話してみるともっと面白いですね。
何年一緒にいても、他人であることを確認しあっていきたいと思いました。
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