「家ある子」3月10日公演『火曜は燃えるゴミ』脚本


場所

  パーティー後の散らかった部屋

登場人物

  ブルー  小川真我
  ピンク  小河遼
  イエロー おしうみあゆみ
  グリーン 大坂理冴



パーティーの後の散乱した暗い部屋。
壁に貼り付けられた飾りが取れかかっていたり、床で風船がしぼんでいたり。
こたつの中に潜ったブルーの足がはみ出ている。
そこへスマホをいじりながらピンクが入ってくる。
散乱したゴミや飾り付けを蹴飛ばしながらこたつへ近づき、手に持っていたビニール袋を上に置き中へ入る。
ブルーには気付かずしばらくスマホをいじり続けるピンク。

ピンク 「・・・(スマホをいじる)」
ブルー 「・・・」
ピンク 「・・・(スマホをいじりながら一人笑う)」
ブルー 「・・・」
ピンク 「(突然ブルーに気がつき)うわ・・・びっくりしたあ」
ブルー 「・・・」
ピンク 「(笑う)」
ブルー 「・・・」
ピンク 「(笑い止み)え、どゆこと?」
ブルー 「・・・(もぞもぞとこたつから這い出る)」
ピンク 「・・・」
ブルー 「(横になったまま頭を押さえ)あー痛い。痛い。飲みすぎた」
ピンク 「(笑う)」

グダグダ言いながら転がるブルーとスマホをいじり続けるピンク。
意味なく床に転がったものを触ってみたり、机を叩いたり手遊びをするブルー。

ブルー 「(思い出し)ねね、俺ブルーじゃん?」
ピンク 「うん」
ブルー 「この前さ、俺のファンの子からさ、青いバームクーヘンもらったんだよ」
ピンク 「うん」
ブルー 「それでまあ、食べて。美味しくてね。そしたら次の日さ」
ピンク 「うん」
ブルー 「青かったんだよ」
ピンク 「うん、うん?」
ブルー 「うんこがさ」
ピンク 「うん、うん?」
ブルー 「そう、うんこ」
ピンク 「・・・うん?」
ブルー 「それでね、心配になって調べたの。そしたらさ、前にもそゆことあったんだよね。あの、着色料でうんこが青くなるらしいの。昔さ、青色のペプシが発売されたみたいで。そん時にね、うんこが青くなるって話題になったんだって。なんかさ、同時多発でいっぱいのうんこが青くなると思うとさ、ちょっとドキドキしない?俺、すっごいドキドキする。ね。うん。・・・え、聞いてる?」
ピンク 「うん、あ」
ブルー 「え?」

ピンク、スマホを置きおもむろに一番左の窓に近寄りブラインドを開ける。
急に光が差し込み眩しいと眼を細めるブルー。

ピンク 「あーーー。あぁあぁあぁあぁ。めっちゃ来てる。めっちゃ来てる」
ブルー 「うん?」
ピンク 「ほら、ネバネバーン」

     凝縮された間。

ブルー 「あ。あ〜・・・(なぜか笑って)ね」
ピンク 「これどうすんの?」
ブルー 「えぇ〜、俺に聞く?」
ピンク 「うん聞く」
ブルー 「(寝転がり)もうダメでしょう。レッドも死んだし」
ピンク 「だよね〜」
ブルー 「ですよ〜」
ピンク 「怪獣って死んでくれるもんだと思ったよ」
ブルー 「レッドは殉死するタイミングミスりすぎなんだよな」
ピンク 「美しく散ってっちゃったね」
ブルー 「昨日の打ち上げはなんだったんだ〜」
ピンク 「ダメだ。日本もおしまいだよ」
ブルー 「おしまいかな?」
ピンク 「おしまいだあ、ブルー」
ブルー 「おしまいかあ、ピンク」

顔を合わせよく分からない笑いを交わし合うブルーとピンク。

ピンク 「・・・(くしゃみをする)」
ブルー 「お大事に」
ピンク 「花粉がやばい今日。怪獣以前に花粉をどうにかしてほしいな」
ブルー 「花粉戦隊に転身でもする?」
ピンク 「やだよ。見えない敵こわいもん」
ブルー 「あそ」
ピンク 「日本なんて嫌いだ」
ブルー 「税金高いしね」
ピンク 「割り箸だいたい変な風に折れるし」
ブルー 「・・・おわりだね」
ピンク 「おわりだよ。・・・一応聞くけどさ」
ブルー 「うん」
ピンク 「これ出動すんの?」
ブルー 「(同意か否定か曖昧な返し方で)あーーーー・・・ああ〜・・・?」
ピンク 「(諦めようぜの笑い)」
ブルー 「・・・(思い出し笑いながら)そいやさ、夢みたよ」
ピンク 「夢?」
ブルー 「うん。なんかね、みたらし団子食おうと思ったらね、あのね、逆にみたらし団子に食われたよ」
ピンク 「・・・(上の空で聞いていない)」
ブルー 「・・・(え?と首を突き出す)」
ピンク 「俺も頭いてえ」
ブルー 「あそ?」
ピンク 「あ、これさっき気づいた自慢なんだけどさ」
ブルー 「うん」
ピンク 「俺昨日の打ち上げ、結局王様のラザーニャピザの耳しか食ってない」
ブルー 「(笑い)貧民じゃん」
ピンク 「(笑う)」
ブルー 「(思いつき)・・・これさあ、色的にレッドの次はブルーじゃん?てことはさあ、(ちょっと嬉しそうに)俺がレッドにくりあがる感じなの?え?」
ピンク 「まじ?じゃあ俺何になんの?」
ブルー 「・・・(思いつき笑い)サーモンピンクとかじゃない?」
ピンク 「えぇ〜やだなあ」
ブルー 「まあもう終わりだけど(言いながら窓際のピンクに近づく)」
ピンク 「(窓の外を眺め)あ、カザフスタンだ」
ブルー 「うん?」
ピンク 「ニューオータニの国旗、今日カザフスタンだよ」
ブルー 「(窓の外を眺め)ああ本当だ(しばらく言い終わったままの口している)」
ピンク 「・・・どこ?」
ブルー 「何?」
ピンク 「カザフスタン」
ブルー 「あ、あ〜・・・(なぜか笑って)ね」
ピンク 「(つられて笑い)え?」
ブルー 「いやあ、カザフスタンは危ないよ。危ない危ない」
ピンク 「え。あー」
ブルー 「え?」
ピンク 「ブルーてファンいたの?」
ブルー 「え、なによ。いるよ」
ピンク 「あ・・・ごめん、ちょっと母親に電話してくるわ」
ブルー 「おっ・・・おお〜。いってらっしゃい」

部屋を出るピンク。なんだか手持ち無沙汰になってしまったブルーは、意味なく伸びをしたりうろうろ。
諦めて寝転がりながらスマホを開く。電話帳を眺めるも、誰にかけようか見当がつかない。
仕方なしにスマホを閉じて、寝た体勢のまま近くに転がっていたぴろぴろを拾いあげなんとなく吹いてみる。吹いてみたが、静かな部屋に間の抜けた音が響くだけですこし空しくなった。
起き上がりこたつの上に置いて行かれた四本入りのみたらし団子を発見する。

ブルー 「(袋から取り出し、眺め)・・・え・・・正夢?」

恐ろしいと思いゆっくりとみたらし団子のパックを遠ざける。
すると勢いよく扉が開けられ、少し驚いてそちらを見るブルー。
扉の取っ手を掴んだままイエローが固まっている。
しばし二人の目線が合う。

イエロー「・・・」
ブルー 「・・・」
イエロー「・・・(扉を閉める)」

何も言わずに部屋の隅に散らばったカルタの取り札の前に座り込むイエロー。
その様子を無言で眺めてこたつの上の読み札を一枚とるブルー。

ブルー 「・・・(読み上げる)」
イエロー「・・・(とる)」
ブルー 「・・・(読み上げる)」
イエロー「(とる)」
ブルー 「それ楽しい?」
イエロー「・・・」
ブルー 「え?・・・(読み上げる)」
イエロー「(とる)楽しいです」
ブルー 「・・・(読み上げる)」
イエロー「(とる)」
ブルー 「あそ」

電話を終えたピンクが部屋に戻ってくる。

ピンク 「(イエローを見つけて)あ」
イエロー「・・・(ピンクの顔を見てうなづく)」
ピンク 「あ、そういえば言いづらいんだけど、実はさネバネバーンが、」

イエロー、ポケットから『遺書』と毛筆で書かれた封筒を取り出し自慢げに見せる。

ブルー 「あはは、完璧じゃん」
ピンク 「ならよかったわ」
ブルー 「イエロー、何書いたの?」

少し考え封筒から遺書を取り出すイエロー。
嬉しそうにそれを読み上げる。

イエロー「『みなさんへ。イエローは死にます。今までありがとうございました。私の人生は一言で言えば、猪突猛進でした。しかし、一朝一夕ではいかないことがあります。時には諦めも肝心。さようなら。 2019年3月10日 負けない戦隊カツンジャー イエロー』」
ピンク 「おぉ〜」
ブルー 「(笑いながら)遺書じゃん」
ピンク 「(笑って)遺書だあ」
イエロー「遺書です」
ブルー 「・・・あれ、でもそれさ。肝心な読む人いなくない?読む人もろとも消えるくない?」
イエロー「あっ・・・(驚愕し遺書を眺める)」
ピンク 「(笑って)盲点だあ」

窓際に腰掛け再びスマホをいじりだすピンク。
遺書を眺めどうしたものかと考えるイエロー。
ブルーはこたつの上のみたらし団子をしばらく眺めて、やはり夢は夢だと考え直す。

ブルー 「あ、ピンクさ。このお団子食べていいの?」
ピンク 「え、だめだよ。俺んだよ」
ブルー 「え、いいじゃん。最後だよ」
ピンク 「いいわけないでしょ。いつ何時もその団子は俺の団子だよ」
ブルー 「(笑いながら)ケチだなあ〜」

突如廊下からグリーンの叫び声が聞こえる。
一同、内心なんだろうと思いながらもそれを出さずに各々やっていたことを続ける。

グリーン「ウワーーーーー。うわあ、(勢いよく扉を開け)大変です!あの、あれ、生きてます生きてます!来てます来てます!」
ブルー 「・・・(読み上げる)」
イエロー「(とる)」
グリーン「え?」
ピンク 「そのくだり一回やったんだよなあ」
グリーン「お?」
ブルー 「ネバネバーンでしょ?」
グリーン「そうっす」
イエロー「死んでなかった」
グリーン「そうっす」
ブルー 「レッド無駄死だ」
グリーン「そうっす」
ピンク 「もうおしまいだよ、日本」
グリーン「あっ・・・そゆ感じっすか?あーなんだ。あの、角のローソン行ってたら高校生のカップルが携帯見て泣き叫び出したんで何事かと思ったんすよ。そんでどうしたんですかーって聞いたら、ネバネバーンが生きてたっていうから!慌てて戻ってきたんすよね。あーなんだ、そゆ感じなら、良かったす。はい(扉を閉じて部屋に入る)」
ピンク 「え、なに買ってきたの?」
グリーン「あ、お餅で巻いたもち食感ロールです(こたつに入る)」
ピンク 「うそ。俺それ食いたかったんだよね」
グリーン「まじすか。これラス1でしたよ。え、なんですか。(ビニール袋の中を見て)みんな買い込んでるんすかね?」
ブルー 「(ツボに入り)え、じゃあ今、日本国民みんなもちもちしてんの、あはは、ウケるね。うん」

部屋の一番奥に無造作に置かれていた座布団に向かい、あぐらをかいて座るグリーン。ビニール袋からもち食感ロールを取り出し食べ始める。

グリーン「あー美味しい。春だなあ。幸せだ」
ピンク 「いいなあ。これ見よがしに食べないでくれよ」
ブルー 「ピンクはみたらしあるんだからいいじゃん」
ピンク 「それとこれとは別なんだよ」
ブルー 「ああそう?」

突然窓の外を眺めていたイエローが笑い出す。
他のメンバーは何事かとイエローを見やる。

ピンク 「え?」
ブルー 「何よ」
イエロー「(笑いながら)裂けて・・・裂けてる」
グリーン「(イエローに近づき窓の外を見て)ああ〜〜〜ほんとだ!あははは!裂けてます裂けてます」
ピンク 「どゆこと?」
グリーン「あの、あれ、東京タワーが!裂けてますわ!ちょうどこう、あの、さけるチーズのパッケージみたいに、こう!(さけるチーズを裂く手真似をする)」
イエロー「(頷きながら一緒に手真似をする)」
ピンク 「嘘。すご(外を覗きに行く)」
ブルー 「(笑い)」
ピンク 「あーほんとだあ」
グリーン「ネバネバーンのネバネバでほんと、感じリアルさけるチーズすね」
ピンク 「(ブルーに)ねえこれかなり再現度高いよ?」
ブルー 「(こたつに顎を乗せ)あーそー」
グリーン「あれ!ネバネバーン二足歩行になってますね!」
イエロー「ほんとだ!」
グリーン「まだ若干フラフラしてるっすけど」
ピンク 「なんか我が子を見てるような気分だ」
イエロー「頑張れ頑張れ!」

そばし外を見ながら盛り上がるピンクとイエローとグリーン。
その隙にこたつの上のみたらし団子のパックを開け、ひょいと一本食べるブルー。
ピンク、ふと振り返り見るとみたらし団子が食べられていることに気づく。無言でブルーに近づき襲いかかるピンク。
取っ組み合いになる。

ブルー 「(もみくちゃになり笑って)あ〜〜〜ちょっと、ちょっとやめて!ごめんて!あいた!」
ピンク 「(ブルーの頬をつかみ)出せ!」
ブルー 「(笑って)いや出したとてでしょ!」
ピンク 「(頬をグリグリし)出せ〜〜〜」
ブルー 「ああぁ〜〜〜〜あ、あ、あああああ!!!(突然ひらめき)」
ピンク 「何!?」
ブルー 「待って待って!ひらめいたよ!ひらめいた!あの〜ほらあの〜〜」
ピンク 「え?何?」
ブルー 「(手をわたわたさせながら)あれだよあれ、うん!なんか書くものない!?書くもの!!」

つられて焦りだすピンクとグリーン。
ピンクが机の下から「祝!打倒 納豆怪獣ネバネバーン」と書かれた垂れ幕を見つける。それを少し眺めた後、無言で破り切れ端をブルーに手渡す。焦っているブルーはそれが垂れ幕であることに気がつかず、そのまま裏に図を描き始める。ブルーの周りに集まる他の
メンバー。

ブルー 「ネバネバーンが持つ五大栄養素はたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維。これらが化学反応を起こしてヒ素が生まれる、それがネバネバーンの原動力なんだ!つまりバイオエネ
ルギーの法則に則ると、B動詞があればA動詞もあることになる。そうするとダイバージェンスBイコールゼロ。ここをつけば、ネバネバーンを完全に消滅させることができる!」
三人  「おお〜!!!」
ピンク 「すごい。これでもしかして世界を救える・・・!」
グリーン「ブルーさん!すごいっす!ずっと二番手かと思ってたっすけど棚ぼたで一番手きましたね!」
イエロー「(ポケットから遺書を取り出し投げすてる)」
ピンク 「よし、それじゃあ・・・!」
グリーン「あっ!」
ピンク 「・・・え?」
グリーン「でも、あれじゃないすか。ほら、四人だと(それぞれを差して指を振りながら)センター作れない・・・」
ブルー 「あっ・・・」

ペンを持ったまま固まるブルー。
盲点に気づき各々だめだとなる。

イエロー「だめだあカッコつけて登場できない・・・」
ピンク 「やっぱりおしまいだ」
ブルー 「・・・(苦虫を噛み潰したような顔で紙を雑に破る)」

ちょっとした諦めの空気が流れる中、おもむろにスックと立ち上がるイエロー。
他のメンバーはえ?と救いの神を見る顔でイエローの方を見る。

イエロー「あっ・・・おしっこです」

そのまま部屋を出て行くイエロー。

ブルー 「・・・(うなだれこたつにゴンと頭を打つ)」
ピンク 「あはは。ブルーがほんとにブルーになった」
グリーン「それウケるっすね」

言いながらもち食感ロールの残りを取りに行くグリーン。それを手にし、頰張る。頬張りながら部屋をうろうろと。ふと思い立って喋り出す。

グリーン「去年。隅田川の花火大会、延期になったじゃないっすか。あれ、なんだっけ、ああ。そうそう。台風。十二号で。延期になった日、家に宅配便で、あの、唐みそちびきゅうりの詰め合わせ届く予定だったんで見に行けなくて。家でググったら台風の名前、ジョンダリで。うわあこいつジョンダリかあ〜とか思いながら、思ったんすけど。打ち上がった花火より、打ち上がらなかった花火の方がなんかよくないすか。だから、倒せた怪獣より、倒せなかった怪獣の方がよくないっすか。なんつって」
ブルー 「(言いやがったなと笑う)」
ピンク 「あはは、それいいなあ」

ピンク、窓に近づき外を眺め。

ピンク 「なんかさあ、今まで守ってきた街がこう壊れてくの見るとさあ。(ブルーに)なんか爽快だね」
ブルー 「ヒーローより怪獣のが向いてるんじゃない?」
ピンク 「(外を眺めながら)うん、そうかも」
ブルー 「なんだそれ」

イエローが部屋に戻ってくる。
さっきまで来ていた黄色の上着を着ていない。

ブルー 「あれ、イエロー、(着る仕草をして)どしたの?」
イエロー「あっ・・・(笑顔になる)」

     間

ブルー 「え?」
イエロー「あっ・・・ああ。流しました」
ブルー 「うん?」
イエロー「トイレに」
ブルー 「え、流れる?」
イエロー「あ、はい。ギリ」
ブルー 「あそ」

散らばったカルタの取り札の前に戻るイエロー。

ブルー 「・・・(読む)」
イエロー「(とる)」
ブルー 「・・・(読む)」
イエロー「(とる)」
ブルー 「・・・あ。あー・・・」
ピンク 「ん?」
ブルー 「アイス椅子」
ピンク 「アイス?椅子?」
ブルー 「覚えてない?あの、あっちちょっと行った先にさ、ハンバーガー屋あるの。サーフィンしてそうなさあ、サチモスかけながらドライブしちゃってそうな眼鏡の焼けたおっちゃんがいるとこ」
ピンク 「あ。あー、行ったね」
ブルー 「あそこの椅子さ、ファミマに売ってるクランチのチョコアイスバーにそっくりなんだよね」
ピンク 「・・・(思い出して笑い)あはは、確かに。にてる」
ブルー 「それ思い出した、今。なんか知らないけど」
イエロー「わたしも思い出しました」
ブルー 「ほんと?あのアイス名前なんだっけ?」
イエロー「え?」
ブルー 「え?」
イエロー「あっ・・・(笑って)じゃなくて」
ブルー 「うん?」
イエロー「東京ディズニーシーの、でっかい船の、斜め前あたりにレストランがあって。そこのレンガの壁に、変な絵が飾ってあって。魚が蝶ネクタイしてテーブルでハム食べてる絵で。それ、それさっき思い出しました」
ブルー 「(笑って)そんなのあんの?」
イエロー「はい」
グリーン「懐かしいっすね。わたし覚えてますよ。あの、確か超怪獣ファインダー倒した後でしたよね?(自分とイエローを指差しながら)行ったの」
イエロー「(嬉しそうに)そうです」
グリーン「あの日くそさむかったよね。レイジングスピリッツで回ってる時耳ちぎれるかと思ったもん」
イエロー「わたしあの後、右耳たぶちょっとかけました」
グリーン「(急に怯えた顔になり)えっ・・・」
イエロー「あっ・・・嘘です」
グリーン「なんだあ。焦ったあ」
イエロー「実はほんとです」
グリーン「・・・(怯えた顔に戻る)」

ピンク、窓の外を確認しに行く。

ピンク 「あーーー。あぁあぁあぁあぁ。めっちゃ来てる。めっちゃ来てる。もうそこっすよ。まもなくニューオータニの裏あたりだよ」
ブルー 「・・・はい。みんな集合。来て来て」
ピンク 「え、まじ?そういう感じ?」
ブルー 「いいじゃん最後くらい」
ピンク 「え〜、なんかやだなあ。急にえもくなっちゃうじゃん(しぶしぶ集合する)」

四人、こたつを囲んで立つ。
それぞれの顔を見合う。

ブルー 「・・・」
ピンク 「・・・」
イエロー「・・・」
グリーン「・・・」
ピンク 「しめてよ(ブルーを小突く)」
ブルー 「えぇ〜、俺?」
グリーン「お願いします」
イエロー「うす」
ブルー 「えぇ〜〜あぁ〜〜(頭をかき)じゃあ、はい。世界が終わります。一本締めいきます」
ピンク 「え、まじ?」
ブルー 「はいいきます。いよぉ〜〜」

ブルーの音頭に合わせて四人で一本締めをする。
イェーイなどと言いながら盛り上がる。
ふと窓の方を見たイエローが異変に気がつく。

イエロー「ああああああ!!!」
グリーン「えっ」ブルー「え?」ピンク「ええ?」
イエロー「(窓に駆け寄り)ネバネバネバネバ!ネ、ネバ!ネバネバ!ババババーン!の上!上!いる!いる!(焦って口が回らない)」
ブルー 「(笑って)怖い怖い怖い」
ピンク 「あ、水飲みたい?」
イエロー「(首を思い切り振りながら外を指差す)」
グリーン「え、何すか何すか!?(窓の外を覗きに行き)おおぉ〜〜!?ほんとだ!いる!上にいる!何で!!」
ピンク 「何?何?(なんだと窓の外を覗きに行き)・・・わあ〜〜!!!ほんとに!?まじ??」
ブルー  「え、何?どしたのよ(しぶしぶ窓の外を覗きに行き)えええええ!?あれって、」
全員  「(窓に向かって)レッド!?!?」

なぜだかカッコいい四人の背中。
終わり。

(部屋を出た先の燃やせるゴミ箱にイエローの上着が捨てられている。)


                                                    (作 おしうみあゆみ)


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