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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症としての味覚障害について

注:自分自身の経験に基づくNOTEです。医学研究等による正式なエビデンスに基づくものではありません。本NOTEに記述した内容について、文献や教科書等では私が検索しうる限りでは治療効果やエビデンスは見つけきれていません。また、私は形成外科医師であり、専門外の領域になるため、治療については専門の先生や主治医のご意見を伺ってください。また、新型コロナ感染症後に生じましたが、まったく別の原因(ストレスなど)がたまたま同時期に重なって病態を生じていた可能性もあります。私のNOTEは基本的に形成外科・頭蓋顎顔面外科・美容外科についてできるだけエビデンスのある報告をとの考えもとに始めたものなのですが、各種メディアで後遺症としての味覚障害で悩まれている方がいると報道があるので、少しでも参考になればとNOTEしました。


新型コロナウイルス感染症の感染後に強い味覚障害になりました。症状は、解熱後も続き感染後から1ヵ月後ぐらいかけて、改善というよりむしろ強くなっていきました。嗅覚障害はありませんでした。


症状は、味に関する症状としては・・・

・すっぱい感じ(日内変動あり)

・甘みの欠如(チョコレートが食べられない)

・鉄をなめているような感じ

・全く味がしないわけではないが変な味

・口の中に一日中アルミホイルがあるような感じ


それ以外にも、下記のような症状がありました。

・口の中と口の周りの痛みとしびれ(まれに)

・喉の奥の違和感(文字で表現は難しい症状でした)


上述のように、症状は段々強くなっていき、口の中の酸っぱい感じがあまりに強く生活に支障をきたすようになりました。症状がでてから市販の亜鉛サプリメントなどを飲みつつ2か月ほど待ちましたが、改善傾向になく、むしろ増悪傾向でした。


一口に「味覚障害」といわれておりますが、自身が経験した症状が「味覚障害」という問題だけでは解決しない問題であったため、文献を調べたりしつつ、色々考えてみました。


新型コロナウイルスによる嗅覚・ 味覚障害の原因としては、新型コロナウイルスが宿主細胞に侵入するためのアンジオテンシン変換酵素 2(ACE2)やそれを補助するセリ ンプロテアーゼ(TMPRSS2) と タンパク 質変換酵素(Furin) が鼻腔の嗅粘膜や舌の味蕾に多量に発現しているため, ウイルスの影響を受けやすいことがその原因として考えられています1)。


私は専門外の分野なので詳細は各種正書にて確認すべきだと思いますが、自身の症状がいわゆるただの「味覚障害」ではなくて、舌痛症バーニングマウス症候群異味症という味覚障害に痛みなどを伴う他の病態に似ていたこと、また、味覚障害より末梢神経性疼痛の症状が強く出ているのではないかというふうに考えました。


そのため、主治医の先生と相談してアミトリプチリン塩酸塩錠(第一世代三環系抗うつ薬)の内服を行ってみました。


アミトリプチリン塩酸塩錠(第一世代三環系抗うつ薬)は、薬の名前には「抗うつ薬」とありますが、うつ以外にも、夜尿症や末梢神経障害性疼痛の治療として用いられる薬です。

http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1179002.html


結果なのですが、味覚については内服を初めてすぐに一定の回復をみました。内服を初めて1ヵ月程度たちましたが、違和感は若干残存しているものの、味覚については回復の状態を維持されています。


副作用については、内服を初めて1-2日ほど強い眠気がありまたしたが、すぐになれました。若干の口渇感がありますが、気にならない程度です。


以上、ご報告させていただきました。少しでもご参考になれば幸いです。

また、新しい知見がありましたら、ご報告いたします。




1) 久壽米木 駿, 上羽 瑠美, 近藤 健二et al: 【感覚障害のリハビリテーション医学・医療】COVID-19による嗅覚・味覚障害のメカニズム. The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine 58:1350-1355, 2021

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