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スーパー善玉菌と呼ばれるAkkermansia(アッカーマンシア菌)の落とし穴?!

昨日までのコラムで何回かにわたり、Bifidobacterium(ビフィズス菌)についてお話ししてきました。

今日は私どもが実施している腸内細菌検査をしていただいた中で、Akkermansia(アッカーマンシア菌)という、スーパー善玉菌をたくさん保有されている方のお話しをします。

たまたま、数日前に検査結果が上がってきまして、事前にメールで送っておいた検査結果をもとに、今日の夕方お電話でお話しさせていただきました。

検査キットは「FloraScan」を使用していますが、「FloraScan」が報告する資料に加えて、36種類の腸内細菌構成比を他の方のデータと比べながら、どのような特徴があり、今後何に気をつけて食を考えていくかをお話しさせていただいています。

まず、検査結果を見て驚いたのが、アッカーマンシア菌が13.32%も保有されていたのです。冒頭で述べましたが、アッカーマンシア菌はスーパー善玉菌と呼ばれるような人にとって良い菌なのですが、保有率の高さに驚きました。

どちらかと言うと、欧米人に多く日本人には少ない菌だからです。欧米人が多いと言うことは、肉食系の食事が主体である方に多いと言い換えられます。

そして、瘦せ菌と呼ばれるように、肥満の方、2型糖尿病の方は少ないと言われています。

では、なぜ痩せ菌と呼ばれているのか?

そもそもこのアッカーマンシア菌は腸内でムチンを分解する菌だと言われています。消化管の内壁はこのムチンという粘膜で覆われているのですが、胃では厚く、小腸では薄く、再び大腸、では厚く覆われています。アッカーマンシア菌はムチンの分解菌ですが、ムチンを産生させる役目もあり、腸内で繁殖すると腸の壁の厚さが増し、ムチンが増え糖類が身体に吸収されることが妨げられるため、糖の吸収が悪くなり痩せる作用があると考えられています。

また、ムチンは細菌の侵入も防いでいるため、アッカーマンシアが炎症を抑えるのに重要な菌だともいえます。乳幼児の腸内に多く存在していて、免疫力の弱い身体を守ってくれる、とても優れた菌なのです。

確かに、今回、電話でお話しさせていただいた方はやせ型の方です。そしてお話しを聞いていると、炭水化物と肉食が主で、ほとんど野菜類は摂取していないとのこと。欧米人が肉食中心で、食物繊維をほとんど摂取しないのと合致します。

ただ、今回の方の場合、保有率が異様に多いのです。そして健康診断では、腸壁が荒れているという指摘をいつも受けるそうです。アッカーマンシア菌がムチンを分解している可能性もありますね。腸壁のムチンを上手くコントロール出来ていない可能性もあります。

小腸でも腸内細菌が増えすぎると、SIBO(小腸内細胞増殖症)に陥ることもあります。数が多ければいいと言うことでもないように思います。

アッカーマンシア菌に変わる菌で、Blautia(ブラウティア菌)という菌がいます。この菌は麹を摂取すると増えていく菌です。麹を使った料理を食べることで、菌の構成比のバランスを良くしてみては?とお話しさせていただきました。(ブラウティア菌は1.44%しか保有されていませんでした)

試してみて、再度検査をして、腸の状態がどう変化していくか楽しみにされていました。そして、もっと早くにこの検査を知り、腸内のことを知りたかったとも・・・。

腸内細菌と共存していくには、住民たちのことを知ることはやはり必要ですね!

『遠くの親類より近くの他人』と言いますよね!

あっ、これは関係ないか!?(笑)

*画像は大腸壁のイラストです