見出し画像

自然免疫が持つ病原菌を封じ込めるためのセンサーとは?

昨日は免疫のしくみについてお話ししましたが、今日はもう少し掘り下げてみたいと思います。

昨日、自然免疫と獲得免疫について説明したなかで、獲得免疫は発動するまでの時間的な余裕が必要で、自然免疫が緊急時には重要という話しを致しました。

抗体をつくる仕組みが獲得免疫であるため、免疫=抗体というイメージがあるのですが、実は獲得免疫は万能ではなく、どちらかと言うと自然免疫の補佐的な働きと考える方がいいようです。

自然免疫とは、細胞一つひとつに備わったセンサーがいち早く病原菌をキャッチしその侵入を防ぐことを指します。

順番としては、まずはこのセンサーが反応し、防御することで身を守り、それに対応しきれなかった病原菌をリンパ球が引き受け抗体を作るという流れです。ただ、その抗体をつくるのに5日~7日を要するので、緊急時には間に合わないということになります。

この自然免疫が持つ重要なセンサーのことを、「トータルライクレセプター(TLR)」と呼び、ヒトの細胞には10種類のTLRが存在していると言われています。

具体的にはこのTLRは、ウィルスや細菌そのものに反応するというより、その構成成分に反応すると言われています。要するに多少のウィルス変異が見られても構成成分は不変ですから、反応できるということです。獲得免疫はそういうわけにはいかないのですが・・・。

例えば、TLR2は、菌の細胞壁の構成成分の一つであるペプチドグリカンに反応します。TLR3は、菌やウィルスの二本鎖RNAに反応します。TLR4は、病原菌の菌体成分であるリポ多糖などに。TLR5は菌の鞭毛に。TLR9は菌やウィルスの核酸に反応するのです。(光岡知足先生著「腸を鍛える」から抜粋要約しています)

このように、それぞれのセンサーが異物のどの成分に反応するかが決まっているため、単純なパターン認識で識別できるのです。

そして異物を認識したTLRが抗菌ペプチドのような防御する物質を分泌します。

このとき、感染した部位では炎症が起きていますが、その部位の腫れや痛みは自然免疫が活発に動いている証拠というわけです!ウィルスが侵入して咽喉の炎症が起こる症状はまさにこの自然免疫の働きによる腫れや痛みということになります。

明日は、いよいよ乳酸菌と自然免疫とのかかわりについて書きたいと思います。

*画像は白血球の種類の一つである好酸球の顕微鏡写真です