国税とケンカして得になることは1つもない!
税務調査を実際に受けてみると、人によって受けた感想が違うようです。
税務調査を受けるたびに多額の追徴税額を課せられ、「もう税務調査にコリゴリ」と思う人もいれば、「みんなが怖がる税務調査もたいしたことないな」と思う人もいるのかもしれません。
ここで気を付けていただきたいのは、「1回の税務調査で何も判断できない」ということです。
以前こう言っていた経営者がいました。
「税務調査なんてたいしたことないよ。
前の税務調査ではゴネたら税務署は何も言わなくなったんだから」
そしてこの会社に2回目の税務調査が入りました。
担当の調査官が相当なやり手だったらしく、あらゆる税務処理の誤りを指摘されました。
追徴税額を見たら社長の顔色が変わるくらいの額だったのです。
税務署は全国に524あり、国税職員は約56,000人います。
これだけの組織ですから、一概に税務調査を担当している調査官といっても、やる気や知識にバラつきがあるのが事実です。
これは普通の会社をとってみても同じでしょう。
最近急速に増えたのですが、調査官の中には「嘱託(しょくたく)」の人もいます。
60歳で定年退職して、期限付きで再雇用されている調査官です。
嘱託の調査官は昇進・昇格などがないため、それほどやる気があるタイプの人間ではないことがほとんどです。
また逆に、若手の調査官の中でも、昇進・昇格にこだわりがあったり、やる気があったりすれば、トコトン税務調査をするタイプの人間もいるのです。
また税務調査は時期によっても、ある程度対応が変わります。
税務署は7月から12月までを上期、1月から6月までを下期としていますので、たとえば、11月から始まる税務調査があるとすると、年内(上期中)に税務調査を終わらせようとする調査官がほとんどなのです。
つまり、税務調査に時間をかけられない事情が存在する場合もあるということです。
これらはあくまでも税務署の都合ではあるのですが整理をすると、税務調査にバラつきがあるのは下記のような理由です。
・調査官(人)によって対応が違う
・税務調査の時期によって対応が違う
だからこそ、税務調査というのはいつでも緊張感をもって臨まなければならない、ともいえるのです。
税務署職員はあくまでも公務員であって、給料は税金から払われているのですが、だからといって調査官を卑下する理由にはなりません。
経営者の中には税務調査で、調査官に対して感情的に主張する方がいるのですが、これは税務調査の結果を良くすることにはなりません。
こんな例えはいかがでしょうか。駅を歩いていたら肩がぶつかりました。
相手方の対応は大きく2つに分けることができます。
①「すみません!」
②「おい、何ぶつかってんだよ!」
本当はこっちが腹をたてていても、相手が①の対応だったら、
こちらもつられて謝ってしまいます。「こちらこそすみませんでした」と。
しかし一方で、②だったらどうでしょうか。
肩ぐらいぶつかるだろうと、本当は腹をたてていなくても、わざわざケンカを売ってくる相手には、こちらも腹がたって当然だと思います。
税務調査もまったく同じだということです。
調査官は確かに公務員ですが、人間なのです。
感情論で言われたら調査官も感情的になっても当然のことでしょう。
「お前らの仕事は貧乏人から税金を持っていくことか!」
こんな勢いで調査官に言ったらどうなるでしょうか。
調査官も感情的になればこう反論してくるはずです。
「間違っているものを指摘しているだけでしょう!」
「ちゃんと税金を払ってから言ってくださいよ!」
「本当はこの辺で税務調査を終わらせてもよかったのに、もっとイジワルしてやろうか!」
調査官がこうなってしまえば、税務調査を受ける側として得することなどあるでしょうか。
調査官をけしかけることにしかならないのです。
では、税務調査をどう対応すればいいのでしょうか。
これは、常に理論的に話すことです。
法律だけが理論ではありません。
業界の商習慣や、過去の経緯などは経営者の方しか知らない重要な情報であることが多いのですから、その点を主張することが重要なのです。
感情的になるくらいであれば、税務調査から席を外した方がいいでしょう。
感情的になったらこちらが負けなのです。
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