どういう個人事業主に税務調査が入るのか?
税務署が税務調査に入るには、それなりの理由があるはずで、まさか税務署もランダムに税務調査先を選んでいるはずはありません。
今回は、個人事業主が税務調査に入られる理由・原因を解説しましょう。
まず、個人事業主の間でよく言われるのは、「白色申告だと税務調査に入られにくい」というものです。
これは、はっきり言いますが「都市伝説」です。
※青色申告と白色申告の差を知りたい方は、こちらがわかりやすいので読んでみてください。
「青色申告と白色申告の違いをわかりやすく説明してみた」
確かに、個人事業主の場合、白色申告には青色申告よりも簡易な帳簿しかないはずなので、税務調査に入った調査官も、(複式簿記などの)帳簿がしっかりある個人事業主よりも税務調査はやりにくいものと思います。
しかし、個人事業主ばかりを税務調査している調査官からしてみれば、白色申告に対する税務調査も常に行っているため、それほどの差を感じていないはずです。
税務署が白色申告に対して税務調査を行わない(行いにくい)理由は見当たりません。
では、税務署が税務調査に入る個人事業主をどのように選んでいるのでしょうか。
その答えは1つではありませんので、順番に解説していきましょう。
目次
1. ①売上金額が1000万円未満ギリギリ
2. ②売上規模はあるのに所得金額が生活費以下
3. ③取引内容と確定申告の内容に差がある
1. ①売上金額が1000万円未満ギリギリ
個人事業主の場合、法人(会社)と違って、そこまで規模があるケースは少ないです。
通常はフリーランスのように単独で事業をしているでしょうから、その売上規模は数百万円から、1000万円を超えるくらいに集中しています。
一方で、売上が1000万円を超えると、翌々年から消費税が課されることはよく知られています。
消費税を避けるために、脱税志向の高い個人事業主がやる方法は、売上金額を1000万円未満にして確定申告する、というものです。
税務署もこのあたりはよくわかっていますから、売上の金額が800~900万円台が続いている個人事業主に着目し、税務調査に入ることにしています。
税務調査で、本当の売上が1000万円を超えていたら、それだけで消費税が新たに発生するわけですから、税務署が放っておくはずがありません。
2. ②売上規模はあるのに所得金額が生活費以下
職業に関係なく、誰しもが働いて得たお金で生活しているわけです。
個人事業主の場合、確定申告した所得(売上-経費)から、納付した税金や社会保険を差し引いた金額が生活費になっていることになります。
例えば、このような確定申告があったら、どう思いますか?
売上:1500万円
経費:1400万円
所得:100万円
所得税:0円
誰がどう考えても、この人は生活ができていないと思うはずです。
年間に100万円といえば、月に10万円未満の生活費になっているはずですから。
この人が、貯金を取り崩して生活しているのであれば話は別でしょうが、毎年このような確定申告をしていれば、この人はおかしい・生活できないはず=売上や経費をごまかしている、と思うのが税務署です。
売上規模が普通(以上)にあるのに、所得が極端に低い個人事業主は税務調査に狙われやすいといえます。
3. ③取引内容と確定申告の内容に差がある
税務署は提出された確定申告書だけを見て、税務調査に入るのかを決めているわけではありません。
税務署は常に情報収集を行っており、これを「資料せん」と呼ばれる資料にしていて、これと確定申告内容を突合しています。
例えば、1人の個人事業主に税務調査に入れば、外部の取引先との金額がわかるわけですから、その取引先に税務調査に入ったときのために、資料せんを残しておく、という具合です。
すべての取引内容がガラス張り、とまでは言いませんが、外部との取引があって事業をしている以上は、その数字が大きく乖離しているかどうかくらいは、税務署はわかっていると考えるべきでしょう。
税務署が保有する情報と確定申告の内容・金額に差がある場合には、税務調査で狙われやすいといえます。
他にも、個人事業主が税務調査に入られる理由や原因は多くありますが、主だったものは以上のような項目です。
税務署に狙われて得することなどありませんから、ぜひ注意してください。
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