税務調査で印紙の貼付漏れを指摘されたら、こう主張してください!
取引先などと契約書を締結する場合、印紙を貼付しなければならないケースもあります。
税務調査では、契約書などを確認され、印紙の貼付漏れがないかどうかも調査対象になります。
目次
■. 2倍の過怠金
■. 質疑応答事例
■. 印紙漏れが見つかった場合の対応方法
■2倍の過怠金
大規模な会社を除き、印紙税だけの税務調査というものはほとんどなく、法人税や所得税の税務調査と同時に、印紙も確認するということが一般的です。
これを国税では、「同時調査」と呼んでいるようです。
あくまでも、法人税・所得税・消費税を調査することが目的であり、印紙は「同時に見るもの」という考えです。
原則として、税務調査で印紙の貼付漏れが見つかった場合、2倍の過怠金(印紙税額の3倍)を納付することになっています。
例えば、業務委託契約書があって、4,000円の印紙を貼らなければならないのに、それを忘れて(知らず)、印紙を貼っていないことが、税務調査で見つかったとします。
この場合、「原則として」4,000円×3倍=12,000円を納付しなければならない、ということです。
しかし・・・です。
現実の税務調査では、3倍の過怠金を賦課せず、10%の過怠金(1.1倍の納付)で済ませていることが多いはずです。
■質疑応答事例
国税庁のホームページにおいても、このあたりのことを直接的に書けないため、玉虫色な記載をしています。
「印紙を貼り付けなかった場合の過怠税」
ここで、国税内部ではどのような規定になっているのかを調べてみると、興味深い質疑応答事例がありました。
「税務調査手続等に関するFAQ(職員用)【共通】」(平成24年11月 国税庁課税総括課)
問1-22 所得税や法人税の調査の際には、印紙税についても事前通知を行うのか
(答)
印紙税については、運用上、同時処理を行うことを前提としていますが、同時処理とは、調査の過程で、印紙の貼付もれ等を把握した場合に、その事実を指摘した上で、納税義務者が自主的な見直しをして不納付の申出を行うものであり、当初から印紙税の調査を行うこととしているものではないため、原則として、法令上の事前通知を行う必要はありません。
なお、印紙税単独調査を同時に行う場合は、原則として、法令上の事前通知を行う必要があります。
難しい表現ではありますが、まさに、「同時調査」という意味を端的に表しています。
「当初から印紙税の調査を行うこととしているものではない」から、税務調査では過怠金3倍を課すのではなく、あくまでも自主納付を促す(1.1倍でいい)、という処理をするわけです。
■印紙漏れが見つかった場合の対応方法
調査官もこのあたりのことはよくわかっていて、具体的にどのような処理をしてくれ、とは自分から言えないでしょう。
税務調査の中で、調査官自身が「この手続きを自主的にすれば、過怠金が2倍ではなく、10%で済みます」と言ってしまえば、法的な手続きから逸脱していることを明言していることになります。
だからこそ、税務調査で印紙漏れが見つかった場合は、調査官にどうすればいいのか聞くのではなく、自ら「不納付事実申出書を提出しておきますね」と切り出すことで、(3倍ではなく)1.1倍の納付で済むのです。
「印紙税不納付事実申出手続」
たったこれだけで、印紙税の追徴課税が下がりますので、ぜひ実践してください。
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