税務調査の最重要論点・・・外注費か給与か
業種・業態に関係なく、税務調査よく問題にあるケースとして、「外注費」なのか「給与」なのかという問題があります。
単純にいえば、従業員(社員やアルバイト)に支払うお金は給与で、外部の業者に払うお金は外注費となるわけですが、実際にはこの判別が明確にできない場合があるのです。
目次
1. 税務署の考え
2. 外注費と給与の判別基準
2.1. ①会社への属性
2.2. ②業務の裁量権
2.3. ③勤務形態
2.4. ④支払形態
2.5. ⑤福利厚生面
2.6. ⑥その他
1.税務署の考え
会社としては、基準が明確でないのであれば、外注費として処理したいケースがほとんどです。
なぜなら、給与ではなく外注費となると、
①消費税が減る(給与だと消費税は減らない)
②社会保険料が不要になる(給与なら社会保険料を会社が負担することになる)
の2点が大きく違うポイントなのです。
しかし税務調査では、外注費として処理したものを疑ってきますし、
実際に判別が難しいので頭が痛いところでもあります。
例えば、このような例で考えてみましょう。
雑貨を販売する店舗を営んでいる会社ですが、最近はホームページを作成して、インターネットでも雑貨の販売をしています。
当初、ホームページは外部の業者に作ってもらい販売を開始しましたが、予想以上にホームページから売上があがりました。
しかし実際にホームページでの販売をしてみると、楽天など他のサイトでも販売しようと考えたり、新製品などを追加してもらうなどの作業が都度発生することもあり、社内にネット通販に詳しい人間を置きたくなりました。
そこでたまたま、知人の紹介でネット販売に詳しい人が見つかったのです。
彼はまだ若いのですが、会社に勤めているわけではなく、いわゆる「フリーランス」として1人で働いています。
この方に依頼して、社内に週3~4日常駐してもらい、ホームページの改修をお願いしました。
さて、この方に支払うお金は給与でしょうか?それとも外注費でしょうか?
非常に単純化して書きましたが、実はこれらの情報だけでは明確な判別できません。
会社側がパソコンを用意し、インターネット回線も会社のものを使用して作業をした場合、外注費ではなく給与と税務署に言われる可能性が高くなります。
なぜなら、仕事をする道具・材料を会社が提供しているのだから、従業員と変わらないではないか?という論理です。
2.外注費と給与の判別基準
では外注費と給与を判別する基準はどこにあるのでしょうか。
外注費なのか給与なのかは非常に難しい問題ではありますが、判別するための基準を列挙すると、下記のようになります(あくまでも総合的に判断することにご留意ください)。
2.1.①会社への属性
その会社の仕事を行う場合、その会社の承諾を要するかどうか
2.2.②業務の裁量権
個々の作業について指示を受けるか、その人の代わりに他人へのアウトソーシングが許容されているか
2.3.③勤務形態
勤務時間、勤務場所の拘束を受けるか
2.4.④支払形態
・定期の月額払い等によるものか、または完成従量によるものか
・定期昇給・退職金の支給等の取り決めの有無
・残業手当等、賞与支払いの取り決めの有無
・タイムカード、出勤簿管理の有無
・請求書発行の有無
・支払日が会社の従業員への給与支払い日と同じか、外注先に支払う日と同じか
2.5.⑤福利厚生面
・社会保険の加入・厚生施設の利用など、従業員との取扱いに差があるか
・忘年会などに出席して会社負担になっているのか、自己の負担によるか
2.6.⑥その他
・原材料・作業用具の支給状況、経費の負担状況
・引渡し未済品の不可抗力により滅失の場合の、その報酬請求権
外注費として処理していることに悪意はなくとも、税務調査では上記の基準から判別され、否認指摘を受けることもあります。
外注費としたいのであれば、上記の基準をチェックし、給与だと言われないよう準備しておく必要があるのです。
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