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スパイロメトリー正常下限値(LLN)の定義:local vs global LLN

local LLN 2.5%程度がこの報告だと予後関連で優れていることになる
日本でのlocal LLN検討が必要と思われる


根拠:スパイロメトリーの変数における正常下限値(LLN)の定義は確立されていない。

目的:異なるLLNの閾値で定義されたスパイロメトリー異常と臨床転帰との関係を調査し、疾患の事前確率に応じて異なるLLNの閾値を使用する可能性を探ること。

方法:1988年から1990年にノルウェーで実施された一般住民調査に参加し、26年間追跡された30〜46歳の男性26,091人における、異なるLLNの閾値(10パーセンタイル、5パーセンタイル、2.5パーセンタイル、1パーセンタイル)で定義された気管支拡張薬前スパイロメトリー異常(1秒量[FEV1] < LLN、努力肺活量[FVC] < LLN、気流制限、スパイロメトリー制限)と複数の転帰(スパイロメトリー異常の有病率、呼吸器症状、全死亡および呼吸器死亡率)との関連を調査した。分析は、事前リスク(呼吸器症状の有無)で層別化し、年齢、体格指数、喫煙、教育で調整した上で、地域の基準式およびGlobal Lung Function Initiative(GLI)-2012基準式を用いて行った。

結果:全人口において、気流制限の有病率はGLI-LLN10で11.6%、Local-LLN5で11.0%、GLI-LLN5で6.1%、Local-LLN2.5で7.6%、GLI-LLN2.5で3.5%であった。スパイロメトリー制限の有病率はGLI-LLN10で5.9%、Local-LLN5で5.2%、GLI-LLN5で2.8%であった。
LLNの閾値が低くなるにつれて、すべてのスパイロメトリー異常において呼吸器症状のオッズおよび死亡率のハザードが高くなることが、両方の基準式で確認された。
無症状の被験者においてLocal-LLN2.5で定義されたスパイロメトリー異常は、全人口においてLocal-LLN5で定義された異常(FEV1 < LLNの場合のハザード比[HR] 1.67、95%信頼区間[CI] 1.50–1.87)および症状のある被験者(FEV1 < LLNの場合のHR 1.67、95% CI 1.46–1.91)に比べ、全死亡率のハザードが低かった(FEV1 < LLNの場合のHR 1.50、95% CI 1.15–1.95)。

全体として、Local-LLN5で得られたスパイロメトリー異常の有病率および転帰との関連は、GLI-LLN10で得られた結果に匹敵し、Local-LLN2.5で得られた結果はGLI-LLN5で得られた結果に匹敵した。

結論:スパイロメトリー変数のLLNの統計的な閾値と臨床転帰には関係がある。異なるリスクサブグループの被験者に対して異なるLLNの閾値を使用することが可能であるが、閾値の選択は基準式の選択と併せて評価する必要がある。
キーワード:肺機能、呼吸器症状、死亡率、Global Lung Function Initiative、LLN


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