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コロナ感染後遺症:SARS -CoV-2スパイク蛋白:β受容体アゴニスト作用 心臓障害のメカニズムの可能性



Deng, Xiangning, Hongtu Cui, Hao Liang, Xinyu Wang, Haiyi Yu, Jingjia Wang, Wenyao Wang, ほか. 「SARS‐CoV‐2 Spike Protein Acts as a Β‐adrenergic Receptor Agonist: A Potential Mechanism for Cardiac Sequelae of Long COVID」. Journal of Internal Medicine, 2024年7月29日, joim.20000. https://doi.org/10.1111/joim.20000.

【背景 】
現在、新型コロナウイルス感染症-19後遺症の心血管症候群(PASC-CVS)の病態生理学的なメカニズムは不明なままです。

【方法と結果 】
PASC-CVS患者は、非PASC-CVS患者や健康な対照者に比べて、循環中の新型コロナウイルスのスパイクタンパク質S1のレベルが有意に高いことが示されました。さらに、血漿中のスパイクタンパク質S1濃度が高い個人では、心拍数の上昇と低周波の正常化が見られ、これは心臓のβ-アドレナリン受容体(β-AR)の過活動を示唆しています。マイクロスケール熱泳動(MST)アッセイにより、スパイクタンパク質がβ1-およびβ2-ARに結合するが、D1-ドーパミン受容体には結合しないことが明らかになりました。
これらの相互作用は、β1-およびβ2-AR遮断薬によって阻止されました。β-AR変異体の分子ドッキングとMSTアッセイにより、スパイクタンパク質が両方のβ-ARの細胞外ループ2と相互作用することが明らかになりました。心筋細胞では、スパイクタンパク質がエピネフリンの有無にかかわらず、濃度依存的にサイクリックアデノシンモノリン酸の産生を増加させ、β-ARに対するアロステリック効果を示しました。

【結論 】
新型コロナウイルスのスパイクタンパク質は、アロステリックなβ-AR作動薬として作用し、心臓のβ-ARの過活動を引き起こし、PASC-CVSに寄与することが示唆されます。

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