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飛び級制度の無い日本

日本では、優秀だからと言って学年を飛び越える飛び級制度はありません。また、当該学年の学習が十分にできていないからと言って、義務教育期間中の留年も基本的にはありません。
出席日数が足りないからと言う理由での留年もありません。

小学校5年生でカタカナが読めなかったり、中学1年生で九九があやしかったりしても、留年することはありません。
その一方で、中学受験で難関校を目指す上位層になってくると、5年生で6年生までの必須漢字1026文字は書けますし、6年生で方程式の概念は(使わなくても)理解しています。

一部の小学生は小学校時代に英検2級を取得する一方で、高校生になっても全く英語を理解できていない生徒もいます。

この番組が高校生向けとして存在しているということはそのレベルの高校生がいる、という事です。


都市圏と地方とでは話が違いますので、ここからはあくまでも都市圏での話になります。

アメリカでは飛び級が認められています。これがなぜなのかを考えてみます。
出る杭は叩く。
これが日本の特徴だと言われています。
これに対して、個性を伸ばすのがアメリカの教育だから飛び級もさせている、と言うのが一般的な考え方かもしれません。

でも、アメリカは99%のド田舎と1%の大都会で成り立っている国です。
高校生にもなると自家用車で通学しています。
通学時間から考えると通学可能な学校は1~2校しかありません。
高校入試などほぼ機能せず、希望すれば入学できる全入状態です。
優秀だからと言って、学校を選べる状態ではないのです。
そうすると、優秀な生徒をどう処遇するかと言えば、少し上の学年に入れるしか方法が存在しないのです。

いろいろな賛否はありますが、日本の教育制度は決して悪いことはないと思っています。最低レベルの底上げを図るにはよく機能していると思っています。
学校制度も公平で、どこの小学校を卒業してもどこの中学校にでも入学できます。どこの中学校を卒業してもどこの学校にでも入学できます。
どこの高校を卒業してもどこの大学にでも入学できます。
この、日本にいると当たり前のことが国によって大きく異なるのです。
大学に行くためには、特定の高校に入らないといけないなどという事は珍しい話ではありません。

そんな制度のもと、都市圏では高校はほぼ学力別に選別されていきます。
優秀な生徒はそれなりの学校に、勉強が不得意な生徒はそれ相応の学校に入学していきます。


そして、高校卒業時には優秀層と勉強が得意ではない層とでは学力的に2~3学年相当のは差がついています。

小学生の時に、クラスの中で吹きこぼれているような児童は、ほとんどの場合中学受験をします。そして、自分の学力に近い生徒と共に中高生活を過ごすことになるのです。
進度をクラスの真ん中に合わせていきますから、小学校時代とは比べ物にならないペースで授業が進んでいきます。そして、公立の中学校へ進学した生徒との学力差が広がっていくのです。

そうやって過ごした6年間で、結果として2~3年分飛び級したのと同じ程度の効果が得られている、と考えることができるのではないでしょうか。

アメリカなどの飛び級制度では、同年代と過ごさないことのデメリットが言われています。それと比較すると、実質的な飛び級をしていると共に、同じような「仲間」と過ごせるという一生の宝ともいえる機会を得られるわけです。

日本では、受験制度から外れたある特定分野の「天才」を受け入れることができない制度ではあります。

オランダの飛び級の経験者は10%程度。アメリカでの公式の統計は見つけられませんでしたが、クラスに一人程度と見て良いようです。

日本での「難関校」と言われる学校への進学割合と合わせて考えても、それほど大きな誤差はないでしょう。


日本の教育制度には、いろいろと問題もあるとは思います。ただ、制度設計上は悪くないと思っています。
その中で、自ら選ぶことができる中学受験は上手に機能しているのではないでしょうか。

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この記事は奈良で中学受験理科の先生をやってらっしゃる木ノ下翔先生の意見を参考に自分なりの考察をの上、書かせていただきました。


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