0254 - 控えの用紙を眺めていた日々
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忘れたくない感覚がある。
ファミコンのスーパーマリオブラザーズが発売されたのが小学2年の時。とにかくファミコンに夢中になりまくりな小学生時代を過ごした。
中学1年の時、スーパーファミコンが登場。発売日にアチコチのおもちゃ屋を巡るも、どこも完売&次回入荷未定となってガッカリしたのを今でもしっかりと覚えている。
数日後、地元(静岡県袋井市)にあるヤオハンの1階のおもちゃ売り場で予約ができると友達から教えてもらった。たしか、その日は学校が終わってから直接お店に自転車で駆けつけたはずだ。
たしかに予約できるが相当な順番待ちと告げられた。しかし、待ちさえすれば確実に手に入るのだ。その「確実に手に入る」という部分だけで完全に有頂天になり迷わず予約。
名前と連絡先を記入して、予約の控えを受け取って帰宅した。
それからの日々は、控えの用紙を眺めているだけで、ものすごくワクワクできたのだ。
品薄なのでおもちゃ屋に行っても店頭で遊べたりはしなかった。実物にはまだお目にかかれていない。当時はネットなんてまだまだ無い。ファミコン系の雑誌で紹介されている写真と、たまにテレビで流れるCMが全て。その少ない情報から期待に胸を(東京ドーム10個分くらいの大きさに)膨らませまくってアレコレ想像する。
入荷の連絡が来たのは、予約してからちょうど一ヶ月後くらいだったと思う。無事に手に入れた時の感動、そして家のテレビに繋げて電源を入れた時の感動。どちらも鮮明に思い出せるほど強烈な印象として残っているが、ここに到るまでの「控えの用紙を眺めてワクワクしていた日々」も、自分の中ではものすごくキラキラと輝いた記憶として刻まれている。
これは仕事関係の知人の話だが、最近ゴルフを始めようと決心したそうで。ゴルフクラブは何を買おうかと調べつつ取り急ぎグローブだけ購入し、そのグローブを家で毎晩のように手にはめてニヤニヤしているのだそうだ。きっと僕のキラキラした記憶に近い状況だと思う。
この感覚は忘れたくない。
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