鮮やかな、なか卯の看板の下で待ち合わせしようぜ
えっ!!!ワイ色覚異常あるんでっか!?!?!?!?
ほんまでっか!?!?!?!?ホンマでっかTV!?!?!?!?
それはとあるアルバイトを始める際、健康診断があったときのことでした。
先生は診察中、流れ作業のように本を取り出して、開いて見せてくれました。それは小さな、色とりどりの、球状の花がたくさん集まったかのような絵が描かれていました。すべてのページにさまざまな、まあるい花束の絵があって、とてもとてもきれいです。先生は、やはり言い慣れている口調で続けました。
先生「この中にひらがなあるんやけどわかる?」
ぼく「うーん。"た"ですかね。」
先生「そう……じゃあこれは?」
こんな感じで花束のページを二人で見終わったあと、先生はいいました。
「うーん。色覚異常があるかもね。」
(ほんまでっか!?!?!?!?ホンマでっか!?TV!?!?!?!?)
(『ホンマでっか!?TV』(ホンマでっか!?ティーヴィー、英称:HONMADEKKA!?TV)は、フジテレビ系列で2009年10月19日から放送されている情報トークバラエティ番組。2010年10月20日から、毎週水曜日 21:00 - 21:54(JST)に放送されている。文字多重放送、ハイビジョン制作を実施。2009年10月19日から2010年9月13日までは、毎週月曜日 23:00 - 23:30(バラパラ枠、JST)で放送されていたんやで。)
ぼくはとっさに出かけた言葉を飲み込みました。
よくよく考えると気にしたって治らないし、今まで何の不自由もなく、お肉の焼き加減や赤信号も間違えたような経験もないので、別にいいやとおもったのでした。アルバイト先は割に合わなさ過ぎたので一か月でやめました。
ただ、最近はそうも言ってられなくなりました。
芸術や観光にはまり、自分でも作りたいという気持ちがふつふつとわいてきたのです。一回気持ちを整理するか、ということで、眼科さんでちゃんと診てもらうことにしました。
眼科さんでみてもらおう
なんもみえねえ
眼科さんに診てもらうのを決めたのはよかったものの、不安でした。
だって日常生活ほぼ困ってないし、お肉の焼け具合間違ったことないし、ナンジャモの髪色もわかるし。せいぜい暗いところで赤と黒系の見分けがしにくいくらいで……そのくらいなら普通の人でもあるでしょう。よくよく考えてみたら検査の結果で普通って言われたらどうするんだ。ただの過剰な心配性のやつが眼科さんのお手を煩わせることにならないか……。そう考えると異常があったときのほうが大手を振って帰れるな……。
こんな感じでした。俯瞰するとかなりヤバいやつだな?
とりあえず電話で色覚検査できると確認していた眼科さんに向かいます。
通常の眼圧検査や視力検査をして、色覚検査が始まりました。
まずは石原式色覚検査です。
色覚検査と言われてよく見るやつを想像してもらったらいいです。
円の中にこれまた丸いモザイクアートみたいな感じで色がちりばめられていて、数字が見えるやつです。たまに見えないのが正常なページもあります。
なんもみえねえ
え?家でやってたブラウザのやつより見えねえ。数字ないやつ?こんな数字ないやつ続くことある???難しいやつ?これに難易度設定あったの??Hard通り越してHellとかMust Dieのやつ持ってきた??????????
これくらい困惑してました。おおよそ高難易度大学模試に勉強してない分野が出たときぐらいの困惑具合ですね。
もう異常はあるやろとは思いつつも次の検査。
SPP 標準色覚検査表ってやつです。まあ石原式とほぼ同じ。
描画範囲が四角くなりました。数字もデジタルチック。
なんもみえねえ
やっぱ難易度UlitmateとかImpossibleのやつだよね??????
ここまでページの大半を「何も見えないです。」で通過して最後の検査へ。
パネルD-15テスト。真っ黒なペットボトルキャップ16個のてっぺんにそれぞれの色が貼ってあると想像してください。一番左の1個は固定されていて、残り15個をグラデーションになるように並び替える、というテストです。
これはさほど悩まずにできました。おそらく暗めのピンクっぽい赤色がなぜか青色に近しい色に見えましたが、おおむね色の順番は間違ってなかったらしいです。
結果としては中程度の色覚異常。赤色が見づらいとのことでした。
結果を伝えてくれるとき、先生が大分励ましてくれました。いい先生ですね。眼関連はここにしようと思いながら後にしました。あと、色覚異常が治る系の詐欺に気を付けてとのことでした。
色覚補正レンズを体験しに行こう
…早速騙されてるやんけ!
まあ(現時点で)色覚が治ると謳ってるのは確実に詐欺なのでおいといて。
色覚補正レンズは筋が通ってると思ったので体験しに行きました。
誰もまじめに読まないであろう原理の話をすると、
僕の場合、赤色の刺激を受け取る錐体(色用のセンサーだと思ってもらえればいいです)が機能不全なわけです。100%受け取るべきものが60%になってる状態。色は相対的に感じるものなので、全部60%上限にしちゃえばいいじゃん!というのが今回体験するレンズです。
ちなみに海外の人がサングラスっぽいやつかけてOMG!ってやってるやつとはまた別の原理です。そっちは赤と緑は周波数的に近しいので混同しやすいから、そこだけカットオフしちゃえ!って感じらしい。
取り扱ってる眼鏡屋さんに予約して、行ってきました。
眼科さんと似たような検査をしたのち、全体的に赤みがかった色覚検査画像を見ていきます。画像自体は同じですが、赤のフィルターの濃さが変わると別の正しい数字が見えてきます。完璧に見えるところで止めて、一枚ずつ戻りながら、正しい数字が見えなくなったらやめる。何パターンか繰り返して結果が出ました。
結果をもとに眼鏡屋さんがレンズを選び出してくれました。そして今日も全然見えなかった石原式色覚検査表を開きます。
「レンズ越しに見てどうですか?」
めっちゃ見える。
びっくりした。そんな見えます???
実は検査表すり替えてない???こっそり難易度Easyまで落としてない?
レンズを外すと完全に見えない難易度Hellになるのわけわかんない。わからなさ過ぎて面白っ!といら立ちが腹の底から出てくるんだけど。
そのあと実際の写真や画像を見ながら感覚を確かめました。
色覚検査的に最適解のレンズは大分赤みが強くて他の色を抑えすぎてるきらいがあったので少し補正軽めにしてもらいました。
赤色ってあんなに明るくてきれいな色なんですね。こげ茶だと思った建物の柱が、レンズを通すとはっきり赤色なのは驚きました。補正レンズかけた後、鮮血が見たいって騒ぎだす人の気もわからんでもないです。それぐらいカルチャーショックというか……美術で成績よかったの、奇跡か?
赤色が本当に鮮明で、ほかにも青と紫が見分けやすくなったりします。
ただ、白色はレンズの影響を受けてピンクから赤色に見えるので、白色を楽しみたいときは外した方がいいです。あと、緑と青は補正無しよりも暗く見えるので、緑や青を楽しむんだ!ってときは補正無しでもいいかも。
なので、これ一つあれば色を十全に楽しめるか、というとNoです。
技術は万能ではない。
あとレンズの色が真っ赤~ピンクなんで職場とかでは使い辛いでしょう。
それでお値段なんですが、色覚補正レンズ単体で90000円します。
キュ(のどが絞まる音)
あと度は入ってないので注意!
キュ(再びのどが絞まる音)
僕はコンタクトだと炎症起こすので普通の眼鏡フレームと、それに合うように設計されたマグネットでの着脱式色覚補正レンズ用フレーム、普通の度入りレンズ、色覚補正レンズをそろえたので15万ほどかかりました……
まあこれから世界がより楽しめるからいいわな!ガハハ!
でも、おまけでつけてくれた色覚補正レンズの保護収納カバー、
Psycho Bunny
ってでっかく書いてあるのはダサいのでやめてほしい。
サイコバニーて。髑髏にうさ耳つけやがって。
帰り道
帰りながら看板をふと眺める。
僕が微妙だな、と思っていたデザインも、
レンズをかけたら変わるのかもしれない。
レンズは一週間ぐらいしたら届く。
そしたら街に出てさ。
鮮やかな、なか卯の看板の下で待ち合わせしようぜ。
赤色にびっくりしながら街を歩こう。
おわり
追伸:意味のないつぶやき
色覚異常について調べてたらこんな図がありました。
これ最終的にみんな色覚異常にならない?(ド素人の疑問)