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タナケン先生こと一般社団法人プロティアン・キャリア協会で共同代表をしている田中研之輔教授(法政大学キャリアデザイン学部)のnote「組織人として働きながら、キャリア・オーナーシップを持つ新たな時代の到来」を読んで、改めて・・・

「プロティアン・キャリアは、転職を啓蒙する考え方でしょ?」

って思われている方が、結構多い。私も感じていたその勘違い。

その勘違いによりいまの組織・会社が好きな方には拒絶反応されてしまったりする・・・・

声を大にしていいたい。「全く違います!」

プロティアン・キャリアは、自らの「アイデンティティ」を踏まえた成功基準(心理的成功)を自ら定め、「主体的な」キャリア開発を「戦略的」に行うための作法です。

■主体的なキャリア開発?アイデンティティ?

過去のキャリア観は、今の会社の枠組みで考える方が圧倒的に多く、異動・転勤など組織都合の論理を受け入れることを是とする「組織論ありき」の受け身のキャリア開発が主流でした。

そのキャリア観が近年の日本型雇用維持が難しくなる中で、コロナウィルスにより主体的なキャリア開発の意識への転換が進んでいます。

理由は言わずもがなですが、終身雇用制度の崩壊、企業寿命の短命化、人間の寿命の長期化(働く期間も長期化)の外部環境もあり、組織にキャリアを預けることがリスクでしかなくなったからです。

新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、約6割がキャリア観に変化 うち9割以上が「企業に依存しないキャリア形成が必要」と回答(※ビズリーチリリース文より)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000135.000034075.html

個人は、既存の組織の狭い視野に囚われることなく、幅広く今後のキャリアを戦略的に考えることが大事になってきています。

主体的なキャリア開発とは、簡単な言葉で言うと「自分の好きなこと、やりたいことを見つけて続けること」とも言えます。今後働く時間が長くなる中でそうでないととても成果は出せないですし、心理的成功はないのです。

つまり、それはワークライフバランスではなく、ワークライフインテグレーションの世界、好きなことや夢中になれることを仕事にした時にもちろん時間のバランスは意識する必要性はあるものの、ワークとライフを意識する必要はなくなります。

そして、自分の好きなことや夢中になれることをやるから成果も出せるので稼ぎも多くなる。プロティアンキャリアで「アイデンティティ」が大事といわれるのは、まさに自分を知らないとそれがわからないから。

よくやりたいことがわからないといいますが、そういう方は行動をするなかで見つけるしかない。行動して初めて心でそれを感じる取ることができる。

仮説でもいい、小さい頃を思い返して夢中になっていたこと、その得意分野が活かせる仕事で社会に貢献する、その行動の中で自分のアイデンティが確かなものになっていくのかと思います。

■成長するためのキャリア開発手段とは

キャリアにおける戦略については、以前のnoteにて書かせて頂きましたが、戦略で大事なのは将来予測と自身の強みの把握。

戦略は何から生まれる?トヨタはなぜ先端都市を創るのか?キャリアにおける戦略とは?
https://note.com/protean_career/n/ne787c9d6468e

じゃあ、将来予測と自身の強みを踏まえて戦略の方向性ができたときに、その戦略実行に向けて、「どのような手段でその戦略の実行を目指すのか」を考えることが必要となります。

つまり、蓄積したいビジネス資本(経験やスキル、学び)、社会関係資本(人的ネットワーク)を獲得するために、どのような成長ストーリを描くのか。を検討するのです。

考えるにあたって、経営戦略論の父ともいわれるアンゾフの「成長マトリクス」を踏まえて整理してみます。

※「成長マトリクス」:1965年にアンゾフがハーバード・ビジネス・レビューに掲載された『多角化戦略(Strategies for Diversification)』の論文にて示した企業における4つの成長の可能性を示すシンプルなフレームワーク

【アンゾフの成長マトリクスとキャリア戦略】

ここでフレームワークの詳細の説明は割愛しますが、企業でいうと縦軸は「市場」で横軸が「商品」となりますが、キャリア戦略に置き換えて縦軸が「業界」、横軸が「職種/役割」としましょう。

企業での「市場浸透戦略」は、既存市場でマーケットシェアを高める戦略で、キャリアで置き換えるといまの会社でスキルや経験を積むことで専門性を高める又はマネジメント層を目指すこと。

企業での「新製品開発戦略」は、新しい商品を既存市場に売り込むこと、キャリアでは、新しい職種/役割を開発することでキャリア資本を蓄積すること、例えば地方支社の営業経験しかなかった人が、本社の営業企画に異動して営業企画としてのスキル、経験を開発するもの、または同業界への転職により営業企画になるものが当たります。

企業での「新市場開拓戦略」は、既存商品を新しい市場に売り込むこと、キャリアでは、地方支社の営業経験しかなかった人が、新しい市場、つまり、異動して新しいマーケット(東京、海外等)の経験を積むことや、異業界の営業職への転職などが当たります。

そして最後「多角化戦略」は、企業ではM&Aやアライアンス又は0→1により新しい市場に新しい商品を売り込んでいくこと、キャリアでいうと異業界×異職種への転職やフリーランスでの独立や起業等による経営者としてキャリアが当てはまります。ハイリスクな選択で、地方の営業職だった方が、フリーランスになる、営業会社を起業するなどが当たります。

また、各戦略について社内異動や転職より気軽なものとして、いまは「副業」という手段によりテストマーケティングが可能。

新しい職種を経験する(新商品)、新しい市場に売り込む(新市場)、全く新しいことに挑戦する(多角化)などもプチ体験できます。副業はキャリア開発にとって使い勝手のいい仕組みだと思います。(しかし労働時間を管理する法律のために広がりづらいいまの労働法は本当に残念)

■プロティアン・キャリアのモデル

では、上記のアンゾフの「成長マトリックス」図に対してプロティアンキャリア戦略で考える田中研之輔教授の「プロティアン」の中ででてくるプロティアンモデルの6つのモデルをアンゾフの成長マトリクスに当てはめてみました。 ※田中教授の6類型をトランファー型、ハイブリッド型は更に分類をわけることで9類型にて表示

つまり、プロティアン・キャリアの考え方は、あくまで個人の視点にたってのキャリア開発であり、やみくもに転職の選択肢を啓蒙するものではない、あくまで自身の成長戦略の手段として考えることが大事であることがお分かりいただけたかと思います。

なお、プロティアン・キャリア戦略講座では、プロティアン・キャリアの考え方を各種戦略のフレームワークも用いて整理し、今後の自身のキャリア戦略を企業が戦略を考えるように策定し、変化のためのトレーニングまで行うものとなっております。

第4期生の募集は、12/20プロティアンフェスでもお伝えさせて頂く予定です。もしお時間ある方は是非ご参加頂けると嬉しいです。
プロティアン・フェス2020 第1回大会|Change Tomorrow - https://peatix.com/event/1704394

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