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先週、「ポスト・コロナ時代における企業と社員の関係性?戦略的な企業の選択とは?」について、個人のキャリア開発における企業選択(どのような観点で企業を選択すべきか)の視点についてプロティアンキャリア理論体系をベースに書かせて頂きました。

今週は、逆に企業からの視点で優秀な社員を採用する、活躍してもらうにはどのような取り組みが必要か、という観点で前回の視点も踏まえて書かせて頂こうと思います。

■人材を「囲い込む」企業に人は集まらない

前回記載したとおり今後の企業と個人の関係はあくまで「パートナー」としての関係となると思っています。副業やリモート勤務ができる企業が魅力的な企業で優秀な社員が集まるので、人材を囲い込むのではなく副業でも何でもやってもらってそこで得たスキルやネットワークで本業に活かしてもらえればいい、そのための環境を整備する企業に人は集まります。(1社にキャリアを預けるのはリスクでしかないことにみんな気づいた。)

最近のリリースでは、ネットイヤーグループの「カケモチ社員制度」は、

https://www.netyear.net/news/press/20200424nr.html

 (下部の表でB-3)まさにですね。こういう企業に優秀な人は集まるのだろうなーと思います。

リリース内にある「会社に所属しながら、本来、転職や起業しないとできない業務にチャレンジすることが可能」とあります。リスクなくキャリア資本が蓄積できる環境、個人にとっては最高の環境ですよね。

こういったことはベンチャーやIT企業が人事制度もある程度変更しやすいよなと思っていたら、最近はみずほ銀行が副業解禁したり、武田薬品工業が、社内で異なる業務を期間限定で掛け持ちする新しい制度を導入するなど、大手も危機感を感じて社員のキャリア開発支援に積極的に取り組み始めているようです。

■人事部門が見るべき指標とは?

いまだに人事部が離職率●%という目標を追っている会社も多いかもしれません。離職はあくまで結果指標、KPIでありませんし、この目標は社員を囲い込む発想になりやすいので要注意です。結果指標のため打ち手が後手になり、競争には勝てません。

企業の業績管理で過去の実績より将来の見通し情報の価値が圧倒的に高いように、戦略人事が叫ばれているなかで、結果指標である離職率の目標設定は労務管理の発想から抜け出せていない証。(もちろんモニタリングは必要です)人事部は、先行指標を設定してその目標を追いかけ、PDCAを回す仕組みを作ることが戦略人事の肝だと思っています。

つまり、何人辞めたかではなく、先行指標として、「どうしたら社員の能力が発揮されるか」「どうしたら社員がキャリア開発しやすい環境を提供できるのか」について目標を設定する、そんな目標を立てて取り組み、PDCAを回せる会社は今後生き残っていく会社。

その目標を実現するためには、社員一人一人の個性(アイデンティティ)を理解し、とキャリア資本を蓄積できる環境(アダプタビリティ)を提供する。上司は指導ではなく、部下のキャリア支援をすることで社員の生産性は上がり、会社も個人も共存共栄の関係となる。そんなパートナーとしての関係構築がマネジメント層に求められています。

定期的に①各社員のアイデンティティを活かして仕事ができているか②キャリア開発をする場として満足する環境が提供できているか、という視点で従業員の満足度(ES)を取るなど継続的な社員との対話が必要不可欠です。

■プロティアン観点からの企業が取り組むべきこと

少し周りくどくなりましたが、前回のnoteで個人の観点から、企業選択の視点をプロティアンキャリア理論に沿って体系的に記載(以下の図の左側2列)しました。

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今回は右側2列(黄色塗りつぶしの列)を追加、つまり今後キャリア戦略を考えるにあたって個人が考える要素を企業としてどう取り組むべきなのかを記載しました。

つまり先ほど言った「どうしたら社員の能力が発揮できるか」は、Aのアイデンティティ、「どうしたら社員がキャリア開発できる環境を提供できるか」はBのアダプタビリティに対応しているものです。

企業によっては過去の慣習もあり、人事制度なとはそうすぐには変えることができないこともあるかと思いますが、企業の現状も踏まえて優先順位をつけていち早く改善に取り組むことによって優秀な人材の採用、活用が進むものかと思います。

実際の事例だとメルカリ社の記事にある取り組みなどはとっても面白いですね。(表で言うとA-3、B-6の施策に該当)https://mercan.mercari.com/articles/2018-10-12-163000/ 

プロティアンキャリアは、キャリア理論のなかで知る限り最も体系的に組み立てられた理論だと思っています。そのため、前回の個人のキャリア視点、そして今回の企業側の視点からも網羅性をもって整理することが可能となったと思います。

優秀な人材を採用する、優秀な人材に活躍してもらうには、このような9つの視点を踏まえて、現状を把握し、将来を見据えて戦略的に何を重点的に取り組むべきなのか、一度じっくりと考えてはいかがでしょうか。

最後に宣伝ですが、弊社では個人のキャリア支援だけではなく、戦略人事支援も行っておりますので、もしご要望あればお問い合わせください!

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