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NGO/NPOのファンドレイジングの話

not 堀口英利スペシャルです。

 実は私はプロボノ案件でNGO/NPOの中期経営計画策定とかファンドレイジング(要は寄付金集め)支援してた事もあるのですが、その時の体験と気づきを書こうと思います。
 私が手伝っていたのは、かなり有名なNGO/NPOで、話題のWBPCよりもかなり活動実態含めてきちんとしたところです。なので怪しい動きは少なくとも私が見えた範囲にはなかったのですが、それでも上の方は公的な金の流れや利権に敏感でした。取れるものは全力で取りに行くし、その為のロビイング的な根回しが主な仕事のような人もいました。

 そして現場のスタッフの人たちは結構目がキマってて怖かったです。良い人たちではあるんですけど、そうはならんやろという使命感や人類愛がありました。俗世の人間としては分かり合えないし、プライベートで関わるの辞めとこって感じました。

 あとアフリカの子供について熱く語られた後で、身近なところでなんかネタをと思って私の自身の経験談も込みで都内の某エリアでの貧困の再生産の話をしたらめちゃくちゃ興味なさそうな顔されたのも怖かったです。

高齢富裕層向けお手紙が最強

さて、ファンドレイジングに話を戻します。データで見たときに、最も成功するファンドレイジングは、高齢金持ち向けにお手紙を送る、です。若者向けに何かするような活動は、団体は好きなんですけど、金集め的にはまあ効率悪いですね。街頭募金なども基本的には寄付全体の量からするとごく僅かでした。大口の企業からの寄付を除くと、メインの収入源は銀行引き落としなどでの定期的な寄付会員です。私が関わっっていた時は、そのような層は基本的には社会的な地位がある40代以上の方、特に60代以上のリタイアした富裕層が多くを占めていました。寄付会員向けには、さまざまな手紙や報告書を送付するなど厚めのコミュニケーションを取っていました。

 意識高い大学生を集めて無料リソースとして高齢金持ちに対して、ひと工夫したお手紙書かせる&たまに寄付者向けに若者との交流会開くのが理論値出る施策です。大学生は色んな意味で重要です。詳しく解説します。

大学生はいいぞ、大学生をうまく使うんだ

 意識高い大学生は、まずは短期のボランティアとして10人集めると、だいたい2-3人くらいは浸かってくれます。すると少なくとも1年〜在学中は無料リソース化できます。プロボランティアになる人はあまりいないです。確率としては低い。年に1-2人くらいでした。

 集め方は大学の事務局とかの知り合い通じて募集する、提携してるボランティアサークル経由で募集する、Webサイトで募るなどのパターンです。
 若者を集めると、20代後半-40代くらいの社会人の居つき方も良かったりします。プロレス理論じゃないのですが、若者(特に女性)が多いと栄えるやつですね。

どっぷり浸かりやすい人の傾向は下記です
・人間関係が希薄(友達が少ない)
・打ち込んでいる趣味や仕事がない
・根が良い人
・おとなしい

 団体のスタッフは、集まったボランティアの人たちにめちゃくちゃ優しいです。まず来てくれたことに対して過剰なくらい感謝を伝えるところから始まります。
 この褒める&感謝する行為が仲間を増やす為のポイントです。来るだけで喜ばれる、自分がしたボランティア活動の意義を明確にされ手放しで褒められる、この飴の投げ方で居心地よく主体的に動いてもらうよう調整しているようです。

 大学生という時間がありヒキがあり感化させやすい層を組織の新陳代謝として利用しつつ、無料リソースとして有効活用してファンドレイジングを行う事が1つの重要な生存戦略のようでした。

とにかく寄付者の望みを叶える、NPO/NGOもファンドレイジングの観点ではビジネス

 さて、またファンドレイジングにおいて重要なのは、如何にお金を出したい、出し続けたいという気持ちにさせるのかという点です。徹底的な顧客目線でコンテンツを練ります。一般的なビジネスと大きな違いはありません。違いといえば、リターンが経済的な利益ではなく、心理的な充足感であるという点です。そこを意識して寄付者向けの活動をしています。
 ターゲット層の関心のある内容、理解できる範囲での取り組みテーマの説明、好ましいと思われる使い方、納得感のある報告などのインセンティブ、etc. これらのポイントを押さえて手紙、資料、報告書、イベント内容を練ります。特に成功パターンに持ち込みやすいのは、より親近感を持てるような打ち手、報告会やイベントを通じてボランティア含めスタッフと交流させて共に活動している感を持たせることです。
 定期的な報告も大切で、しっかりと有効に浄財が使われている事をアピールします。寄附金の使途も細かく報告書にまとめるのですが、詳細を読まれることはあまりないので、どちらかというと冒頭の概況報告が重要です。ピックアップするのは寄付者層の好む内容で固めます。高齢者向けだと鉄板なのはやはり子供の笑顔でした。 
 ちなみに成果を見せる事は大切なのですが、この手の活動では寄付者から課題の解決そのものが求められてる訳ではありません。善い活動が継続していること、善い方向に進んでいること、それを見せるのが大事です。

まとめ:まともな団体はまとも。仕組みは知っておいて損はない

 私が過去に体験したNGO/NPOのファンドレイジングについてまとめてみました。ファンドレイジングの現場を通じて学んだことは、理想と現実の狭間で如何に柔軟に対応するかの重要性でした。高齢富裕層へのアプローチ、若者ボランティアの効果的な活用、そして寄付者との信頼関係の構築など、一つ一つの施策が団体の生存戦略となっています。善意と熱意だけではなく、戦略的かつ現実的な視点が必要です。
 最近何かとNGO/NPOが話題ですが、世界的な大手は非常にまともです。もちろん大学生の集め方や育て方はちょっと宗教チックというか中々怖い部分もあったのですが、少なくとも当人が納得している範囲だったので他の悪いことに巻き込まれたり嵌るよりは良いのではないでしょうか。堀口英利のような人も、超大手の団体でボランティアなどしたら人生が充実するかもしれません。先に債務を学習院OBに返してからだと思うので、だいぶ先のことかもしれませんが・・・
 またこの記事読んでいただけたら分かるかもしれませんが、公金は多かれ少なかれ各団体に入っているのですが、それのみで収入の大部分を賄うような組織は問題があると感じています。寄付者との綱引きがあるから、活動が引き締まり使途も含めて正常化している側面があると私は考えています。全ての団体が問題あるわけではありませんが、公金が入っている以上しっかりと公共性を意識するべきですし、私たちもそのあり方については一定の意識を持つと良いのではないかと思います。

Best regards,
プロ説教師

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