食べられそうで食べられないハロハロの作り方
(劇)ヤリナゲの「預言者Q太郎の一生」で使用した小道具、ハロハロの作り方です。
既存のもので、そんなに高くもない(なんなら自作したほうがずっと高くつく)ものを作る必要があるときは大抵、それの本物が容易に変質してしまう場合が多いです。たとえば生野菜など。
それでも、生野菜は保管方法さえ適切にしておけば3日くらいは保つし、高くないなら本物を毎ステージ買い替えたって構わない。リアリティのほうを重視するなら本物を買うのが最も手っ取り早い。
しかしハロハロは駄目なんです。なぜって? 氷菓だから。
氷菓は3日も保ってくれない。1時間でさえ、かなり危うい。直前まで楽屋の冷凍庫で冷やしておけば使えなくもないけど、舞台上で、限られた時間内で、しかも台詞を言いながら平らげ、あるいは残してもいいが一滴もこぼさず回収してハケきるのは至難の技でしょう。ましてやハロハロを「食べる」ことが目的なのではなく、ハロハロを「食べているというシーン」の記号を見せたいのであれば、後頭部キンキンに冷やしながら台詞と同時に口から氷片が飛び出す危険におびえてまで本物でやる必要はないはず。
そもそもこの作品が上演されたこまばアゴラ劇場の周辺には、徒歩圏内にミニストップが存在しないため本物でやるのはほぼ不可能でした。というわけで、「ミニストップが近くにない劇場」で「ハロハロを使う芝居を上演する団体」の「小道具担当の方」という、世界にあと何人いるのかわからないニッチな層が困らないよう、レシピを公開します。
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