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関係舎の原案/「町は静かになりたかった」

(フライヤーデザイン:サノアヤコ)

イントロダクション

入れ替わり立ち替わり、町に人がやってくる。
大きなビルが次々できて、町はどんどん変わっていく。

みんなといるのが楽しくないわけじゃない。
みんながいて楽しくないわけないじゃない。

だけど、ここでは誰も、ひとりで泣かせてはくれない。

キャスト

A/主人公(マチ):大学生。あまり自己主張をしない性格で、唯一の趣味は図書館通い。小さい頃にDから貰った本がきっかけで読書好きとなる。

B/主人公の妹:高校生。姉妹仲は良好だが、性格は姉と真逆でミーハー・流行好き。ショッピングモールの完成を誰より心待ちにしている。

C/スーツの男:ショッピングモールの営業担当として頻繁に町を訪れる。裏表なく明るい人柄で、住民たちからの信頼も厚い。

D/幼馴染:主人公より3、4歳年上。ご近所に住んでおり、小さい頃は最も気の合う遊び相手だった。現在は趣味も変わり、ほとんど本を読まない生活を送っている。

E/読書する男:この町の住人ではないが、ショッピングモールの工事に関連する肉体労働(警備員や建設作業員など)で働きに来ている。休憩時間は公園のベンチなどで、持参した文庫本を読んで過ごすことが多い。

内容についての規定

舞台は都会から離れた小さな町。そこに巨大ショッピングモールが誘致されようとしている。
こうしたストーリーでは通常、立ち退きや景観などをめぐって地域住民との衝突が起こるのが定石とされているが、この町にそれらの問題はほとんど発生せず、皆「暮らしが便利になる」ということで歓迎ムードとともに受け入れられた。
そんな町の中で、主人公のマチだけが変わっていく町並みに一抹の寂しさを感じている。

駅前にあった町の図書館は工事の都合で一時的に移転し、プレハブのような建物で縮小運営している。また、図書館と工事現場が比較的近いため、窓を開けていると重機の音などが聞こえてくる(とくべつ騒音というわけではないが、マチは少し気になっている)。

Bは高校に入ってから(不良になったのではなく、それが当然のこととして)化粧することを覚えた。

周囲の人間はマチに対する悪意は全くなく、100%善意と心配と厚意によって接しており、皆「自分たちのように生活すれば幸せになれる」という考えを当然の前提としている。

マチはこの町の変化に正面から異を唱えることができず、次第に自分の気持ちは単なるわがままなのかもしれないという罪悪感に似た思いを抱きはじめる。

上演に際して

・登場人物の名前は自由に設定して構いませんが、主人公の名前のみ「マチ」で固定とします(漢字にする場合は、人名として適切であればどのような表記でも構いません)。

・上演料(原案買取料)は公演規模に合わせて応相談とします。必ず事前にお問い合わせください。また、フライヤー・パンフレット等には「原案:辻本直樹(関係舎)」を明記してください。

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