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「架空のM-1」を終えて

<!-- ここから下はすべてフィクションです -->

一夜明けて、すでに多くの人が結果を知っていることとは思うが、自分の備忘録として書き留めておきたい。
言わずもがな、架空のM-1の話である。

(ここへ至る「文脈」をご存知ない方は、前日譚に相当するこちらの記事もあわせてご購入ください)

審査員6名は上方漫才のご意見番・Wスタック奥屋をはじめ、水ふ~せん村口、講談師の冬川佳美など、いつもの顔ぶれ。毎回疑問なのは、審査員まであんな長尺の演出で紹介する必要あるんだろうかということ。架空のM-1に興味あるなら紹介するまでもない、知っていて当然のメンバーだと思うんだけど、生放送だし、他の準備で時間稼ぐ都合などもあるのかしら。
公式ルールに則り、前回チャンピオンのエイブラハム大庭が7人目の審査席へ。緊張しているのか、セットの角に裾を引っ掛けていた。

そしていよいよ、本戦が始まる。

ホンルイダ『黄色い茶封筒』 :634点

ホンルイダはリトマスチェックとして出場した昨年同様、大島田の間違った日本語を志茂がしつこく追及する構成。黄土色とカーキとベージュの違いを体全体で表現する志茂の動きは見違えるほどのキレがあり、テンポもかなり良かった。

一番手にしてはかなり高い点数を叩き出し、暫定ボックスへ。

バンヂーチャンプ『車上荒らし』:622点

続くバンヂーチャンプは、半年間の「新ネタ武者修行」を経て最も手応えのあるネタを持ってきたはず。ボケもツッコミも、ひとつひとつのフレーズに最大限の打撃力を込めているのはわかった。実際、ライブや劇場ではドッカンドッカン受けたのだろうという予想もできる。

しかしM-1の広々として明るい舞台に、車上荒らしというやや行き過ぎたモチーフは浮いてしまっていた。ネタの出来云々というより、バンチャンにとって必要不可欠な「観客とのチョイ悪な共犯関係」が築きにくかったのかもしれない。中薗が荒ぶれば荒ぶるほど、こいつは本当にやりかねないというリアルさのせいか会場の空気が離れていくのを感じてしまった。

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