3Kチンピラ 1ページ目

パチンコ屋の喧騒の中一人の男がいら立ちを隠せずタバコを吸いながら貧乏ゆすりをしていた。どうやらハマっているようだ。暫くして台の回転数が1000を超え男は台を叩き始めた。近くにいた店員が飛んでくる。
「ちょっと止めて下さいよ茜さん。先月も台壊したの忘れたんですか!?」
「出さねーからだろうが。このクソ台が!」茜という男は先月も同じパチンコ屋で出なかった台のガラスを割っていた。そのせいで3万円も払う羽目になったが全く懲りてないようだ。
「もういい。帰るわ。」
「今度壊したら出禁ですよ!またのお越しを!」
 ここは東北の地方都市。人口減、少子高齢化に苦しみ不景気でろくな仕事もない。栄えてるのは飲み屋とパチンコ屋位だ。駅前もほとんど人がいない。24歳の茜はそんな田舎で建設作業員として働いていた。建設業の派遣、いわゆる人夫出しだ。社長はヤクザやヤクザ関係者が多い。違法だが捕まったなんて話は聞いた事がない。
茜の働く会社の社長も日本最大のヤクザ組織山影会の関係者でまだ若くしかも茜の1コ下の後輩だった。1年前に人夫出しを始めその時暇をしていた茜を誘った。日給は8500円と普通の人夫出しに比べて1000~1500円程良い。後輩の下で働くのは癪だが給料が良かったので結局働くことにしたという感じだった。それから鳶の手元で足場材を運んだり土方の穴掘りなどして働いた。パチンコで負けた茜はパチンコ屋の近くのサラ金のatmに向かった。
 atmには先客がいた。車で少し待って先客が出ていってから中に入る。とりあえず負けた金額と今日遊ぶ金で5万円借りた。限度額は50万円ですでに25万円借りてる。給料は月20万円程貰っているがパチンコで負けて足りなくなり借りる事が多い。土曜の夜8時。明日は仕事が休みなので飲みに行こうかと思ったがある事を思い付き電話をかけ始めた。
「もしもし、竜二さん?何してました?」「おう、茜か。一発キメてたわ。」
「そうですか。キマってるとこ悪いんですけど俺にもシャブ売ってくれませんか?」
「おう、いいぜ。0.3位で1万円だ。取りに来てくれるか?」
「はい。今から向かっていいですか?」
「おう、いいぜ。」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?