小さな少年

窓際から眺める眺めは地上から予想したそれとは違っていた。2階から見える景色はもっとつまらないものだと思っていた。人は下を向き、工場からはけむりがもくもくと出ている。スマホをいじっている人、木に寄りかかり人を待っている人がここから見える。昔なら、ここから見えるであろう距離に本を読んでいる人が見えたはずなのに。その姿はもう影も見当たらない。

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