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名も無き記憶 第一話

雨が降っている。外はよく見えない。窓には雨粒がたたきつけられ、わずか1メートルほど先は白とグレーだ。

ぎゅうぎゅうに詰め込まれた教室の中で、果たしてこれが本当に青春だろうかという思いを抱きながら教鞭をとっている先生を皆で見ている。みなひとりひとり個性があると、当然のことをなぜ私が第一人者であるような言い方をするのか。みなそれぞれ考えていること、興味があること、顔すら違うのだ。そりゃ個性があるに決まっている。それは自明なことなのだ。あえてわざわざいう必要はない。あと80年。この先を考えるだけで気が遠くなる。何をするというのだ。会社に入って平凡な人生を送ろうにも大半の人が満足にできていないじゃないか。今、この瞬間胸を張って幸せだ。最高だ。って言える人なんてそうそういないはずだ。僕はそう思っている。

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